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ゆく年くる年(佐+政)
「俺の作った黒豆イイ感じでしょ?」
「そうだな………ツヤがいい」
「でしょでしょ〜♪政宗のだし巻き玉子も美味しそうだよなぁ〜………」
料理好きな政宗と佐助はお節料理を一から作ったのだ。
「日付変わったら早速食べてもいい?」
「これから蕎麦食べるのにか?」
「ちょっとだけだってばー」
料理の数々を重箱に詰めていて、佐助はついつい食欲をそそられてしまった。
「もうすぐ茹で上がるから向こう行って待ってろよ」
「………はーい」
佐助は少ししょんぼりしながら重箱の蓋をした。
「………1つだけだぞ」
「ん!?ありがと♪」
見兼ねた政宗の一言に佐助の表情は明るくなり、玉子焼きを1つ摘んでキッチンを出た。
甘やかしてくれる恋人が可愛くて嬉しくて、政宗が見ていないのをいいことに、佐助はだらしなくにやけたのだった。
「美味しい………」
佐助はこたつに入り、ふわっとした食感に舌鼓を打った。
「テレビでも観てれば?」
「蕎麦食べながらゆく年くる年観よっか?」
「あぁ」
男2人で料理をしたり、騒がしい特番も観ずに静かな年越し。
端から見たら変な光景だろうが、佐助は幸せいっぱいで政宗の背中を見つめた。
「運ぼっか?」
「あー、いいよ」
手際よく年越し蕎麦の準備をする政宗。
「何、ニヤニヤしてんだよ」
「えー?」
こたつの上にざるそばが並べられた。
「今年も政宗と一緒で幸せだったなー、と思ってね」
「ばーか」
「ねぇねぇ………隣に入れて?」
「はぁ?狭いじゃねぇか」
「蕎麦食べながらもっとそばに居たいの〜」
「つまんねぇおやじギャグ言ってんなよ」
「あはは♪まぁまぁ、のびちゃうから早く食べよう」
「ったく………」
佐助は無理矢理政宗の隣に入り込み、2人は肩を並べながら箸を持った。
「美味しいねー♪」
「まぁな………」
「………ねぇ、政宗」
「あ?」
窮屈だからなのか、政宗は眉間に皺を寄せながら蕎麦をすすっていた。
「もうすぐ新年に変わるじゃん………?」
「だから?」
「んー………っと、」
佐助は落ち着きがなく、物欲しそうに箸を咥えて政宗を見た。
「筆納めと姫初めを一気にしたいなー……なんて」
「はぁ?寝言言ってないで黙って食ってろ」
「ちょ、俺様本気だよ?」
身体の触れ合う距離だからこそ欲情してしまったのだ。
「蕎麦食って年越しで十分だろ」
「日付の変わり目に何をしてたかで、その年の行く末が決まるからさぁ」
「意味が分かんねぇ」
にこーっと間近で笑う佐助に、自然と政宗はしかめっ面になってしまう。
「…………じゃあ、キスにする」
「ンッ!」
首を縦に振ってくれない政宗に焦れて返事も聞かずに口を塞ぐ。
「政宗………今年もありがとう」
「ん………」
「来年もよろしく」
「あぁ…………」
強弱をつけ、角度を変えてのキス。
舌の侵入を許してしまえば、身体は焚き付けられて後は流れのまま………
「大好き………政宗………」
「…………ん」
肩を押しても抵抗なく、身体を横にする。
「政宗………」
「さ………すけ…………」
見えるのは互いの瞳に映る自分。
感じるのは互いの体温と鼓動。
聞こえるのは互いの吐息。
いっぱい、いっぱいありがとう。
これからもよろしく。
末永くよろしく。
新しい年
新たな気持ちで
キミを大事に
愛します
×××××××××××××××
お歳暮とお年賀の意味を込めて、
佐政フリー小説にしました。
いつも足を運んで下さる皆様へ捧げます。
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