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甘いのは?(佐+政)
「わー………やっぱり混んでるなー」
ドーナツとアイスコーヒーの乗ったトレイを持って空いている席を探す。
学校帰りの学生や、買い物中の主婦などレジでも並ぶくらいに店は混雑していた。
─────…………
「ねー伊達ちゃん、帰りにミスド寄らない?」
「突然なんだよ?」
休み時間に政宗の机に満面の笑みで佐助は近づいた。
「たまには甘い物食べたいし、今100円フェアやってるんだよねー」
「そんな理由かよ」
「そんな理由だよ」
あまりにも単純な答えに政宗も釣られて顔が緩む。
「いいぜ」
断る理由もなく、政宗は佐助の誘いに乗ったのだ………────
「あ、窓側の席空いたよ!行こ伊達ちゃん」
「あぁ」
2人はようやく座って落ち着いた。
「さ、食べよ食べよ♪」
佐助は定番のチュロスとオールドファッション。
政宗はダブルチョコレートとポンデリング。
「いただきまーす」
アイスコーヒーに佐助はミルクだけを入れてストローで混ぜると、カランと氷の音が心地好く響く。
騒がしい店内、男2人で甘味を食べる姿は幾分浮いているが、佐助は周囲が全く気にならないくらいに意識は政宗に釘付けだった。
(可愛い…………)
ブラックコーヒーをストローで飲む唇や、ポンデリングを1つずつかじる姿が愛らしくて佐助は見つめてしまう。
「………何だよ?」
「ん?」
「さっきからジロジロ見やがって」
政宗は居心地が悪いのか眉を寄せてストローをくわえる唇が尖った。
「甘いよね………」
「そりゃドーナツは甘いだろ」
政宗はうっとりとしている佐助にツッコミを入れる。
「俺達が、だよ?」
「ッ───………恥ずかしい奴だな」
「だって俺達ラブラブだもんねー」
「………バーカ」
政宗は気恥ずかしいのか不機嫌そうにストローで氷を突く。
「ねぇ伊達ちゃん………後でキスしていい?」
佐助は頬杖をつきながら可愛くて仕方ないように政宗を見つめる。
「俺はお前なんか甘やかさねぇよ」
「ひどいなー」
ククッと喉の奥で笑う政宗に佐助は苦笑いをしたが、
(こうして向き合うだけでも十分甘いのにね………)
佐助は内心でクスリとほくそ笑んでいることなど政宗は少しも知らず、2個目のドーナツに手を伸ばしていた。
「あー、伊達ちゃん!チョコの部分少しだけちょうだい」
「だからお前は何で人のモン欲しがるんだよ」
「だっておいしそうなんだもーん」
「…………ほらよ」
「あ、りがと」
眉間に皺を寄せた政宗だったが、佐助にドーナツを差し出したのだ。
「ったく………嬉しそうな顔しやがって」
「甘くておいしー♪」
そのままかじりついた佐助だったが、
(甘やかし過ぎでしょ!)
政宗の口とは裏腹な素の行動に、佐助は抱き締めてしまいそうなくらいに悶えてしまった。
甘いのはドーナツ?
それとも、─────
×××××××××××××××
ドーナツ食べてたら思い浮かんだネタ。
ただのバカップルが書きたかったの。
天然政宗と腹黒佐助。
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