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幸せの灯火(政+佐)
平和な土曜日の昼。
「あー………腹減ったな……」
風呂場から出てきて、タオルで頭をガシガシ乾かしながら一言呟いた。
飲みに行って午前様。
シャワーを浴びて幾分スッキリしたが、まだ酒が残っている感じで体はダルい。
「シメのラーメン食べに行くか………」
作るのは面倒臭いが腹は減っていたので、ジーンズにTシャツ、髪はタオルドライだけで済ませて携帯とタバコを掴み玄関へ向かう。
「うわッ!?」
「?」
サンダルに足を通し、ドアを開けると悲鳴に近い声がした。
「政宗さん!まだチャイム鳴らしてないのに来たの分かったの!?」
ドアにぶつかるなんて鈍臭いことのないオレンジ頭は、キラキラと輝く眼差しを向けていた。
「いや………どうした?」
「えぇ!?どーした、じゃなくて今日行くねってメールしたじゃん!」
政宗は手に持っている携帯を開くと、確かに受信メールがあった。
「わりぃ………今見た」
「返事ないと思ったらぁ………出掛けるトコだったの?」
「飯食いに………」
「俺待ち呆けするとこだったね!何か作るから戻って戻って」
「あ、あぁ………」
テンションの違いに気圧されてしまう。
「ねぇねぇ!ご飯の前にさ、これ開けて」
「何?」
「だから開けて確認してよー、あ!気を付けて開けてね」
「…………」
リビングのテーブルに置かれた白い箱。
ぼーっとした脳内で、ガキって面倒臭ぇな、なんて思ってしまったが開けないことには始まらなさそうなので手を伸ばした。
「ぁ……………」
「誕生日おめでとう、政宗さん!」
チョコのプレートには『Happy Birthday』の文字が書かれたホールのチーズケーキだった。
「あぁ〜…………今日だったか」
「やっぱり忘れてた!前以て聞き出しといて良かったよ」
うっかりしていた政宗は頭を掻いた。
「ホントは苺のデコレーションケーキの方が見栄えがいいんだけど、政宗さん甘いの得意じゃないから………」
「………お前が作ったのか?」
「うん!午前中に焼いたよ」
「………サンキューな」
面倒臭いなんて思ってしまったが、ソファーの隣りに座る笑顔が愛しく見えた。
「ご飯の後に食べる?」
「いや、今食べるよ」
「ホント!?それならね………」
嬉しくて笑顔に応えると、ゴソゴソと鞄の中を漁る。
「じゃーん!」
「は………?」
「政宗さん、今日で34歳だけどそこまで本数ないから3+4で7本ね!」
「はぁ!?そんなもんいいよ、佐助」
さすがに政宗は引いたが、佐助はケーキにロウソクを立てていく。
「誕生日ケーキには必要だってば〜♪火借りるね」
「いや、俺いい歳したオヤジなんだからこんなこと………」
「ハッピバースデー政宗さーん♪」
佐助は火を灯して楽しそうに歌い出してしまい、政宗は気恥ずかしくて仕方なかった。
「ほら、政宗さんフゥしてよ」
「お前なぁ………こんなガキみてぇなこと」
「誕生日は幾つになってもお祝いなんだからさ!ほらー政宗さん」
「……………」
何だこの羞恥プレイは?後で憶えてろよ、と言わんばかりに政宗は佐助を睨んだが、当人は純粋で悪気がないからどうしようもない。
「……………ふぅ」
観念したように7本のロウソクを吹き消した。
「おめでとう政宗さん!もぅ超可愛い!」
「だから………俺はお前の丁度倍は生きてるオヤジなんだよ」
カァッと赤くなった政宗にきゅんとした佐助。
横から抱き締められて余計に頬が熱くなる。
「あとね政宗さん………」
「ん………?」
ぎゅうぎゅうと抱き締めていた17歳も年下の佐助がふと力を緩めたので顔を上げる。
「プレゼントは何が欲しい………?」
「……………」
吐息の触れる距離にある佐助の顔。
その視線は熱を帯びている。
(ガキが…………)
政宗は佐助が求めている言葉に気付いた。
「…………お前が………欲しい………」
「政宗さん…………」
1年に1度しかない1日なのだから、こんな日があってもいいか………
そんなことを考えながら政宗は雰囲気に流され、そのまま2人は口付けを交わした──────
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09/09/05
政宗様生誕小説。
佐政?政佐?
この2人の設定は今後の連載で・・・・
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