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心からのありがとう(佐政)


















歳を1つ取ることがそんなにめでてぇか?

ガキじゃあるまいし、1年で何か成長してそれを祝ってもらう意味すらねぇよ。

年寄りみてぇに、また1年長生き出来て良かったなんて思うわけでもねぇし。

誕生日って騒ぐ奴等の気が知れねぇな!






………俺様の恋人は、平気でこんなことを口に出してしまう子だ。



口は悪いし、態度も悪い。
ひねくれてるし、頑固で横暴。
良いのは顔と身体の相性。

(いや、もっと良いトコあるからね)



まぁ………そんな感じで、誕生日が近付いてきた頃から不機嫌極まりない。


淋しがり屋のくせに孤独を愛する気紛れ猫タイプなのに、周囲は構いまくるから余計に不機嫌。

俺はその辺の距離の取り方が上手いから、俺を恋人に選んだと思う。

ま、どんな理由であれ隣りを確保出来たことは誇らしい。




「っるせぇ!!何もめでたくねぇからさっさと散れ!!」



あ〜ぁ………
お祝いに来た奴等を一蹴しちゃったよ………


俺様だって誕生日のお祝いしたいのにね。
残された俺は、どうお怒りを鎮めようかなぁ………



「ったく、どいつもこいつも………」

「まぁまぁ………」

「何で誕生日がおめでたいのか意味分かんねぇよ」



眉間の皺が凄いな。



「ん〜………じゃあさ『ありがとう』なら言ってもいいかな?」

「は?」



きょとん顔。
こういう時って、あどけなくて子供っぽい顔つきで可愛い。
それを言ったら間違いなく鉄拳が飛んでくるから言わないけど。



「生まれてきてくれてありがとう」



この世に生を受けたこと

出会えた運命

心からのありがとう




「…………恥ずかしい奴!」


ストライクゾーンさえ間違えなければ、暴投にも乱闘にもならない。



「あはは〜♪でも、ホントに俺はこの日を感謝してるよ」

「…………」

「政宗…………」



照れ臭そうに俯く恋人はとても愛らしい。

そっと手を握っても怒ることはない。



「ありがとう………」

「ん………………」






今日という特別な日を

心からありがとう




俺は、気難しいけど愛らしい1つ大人になった恋人を抱き締めた。













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09/08/03
政宗様生誕記念小説

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あきゅろす。
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