太陽と月の距離
自慰
貴方の香り……
貴方の体……
貴方の温度……
あなたの……
……唇────
「ハァ、ハァ……」
幸村は走ってきた道をまた全力疾走で戻った。
「ま……さむね……どのッ」
先程までの出来事が、まだ己の頭と体が記憶している。
頭の中を整理したくて幸村は走り、署へと急いだ。
バタンッ───
「ハァ………ハァ……」
仮眠室には誰も居なかった。
(他の方………許して下され……)
幸村は部屋の鍵を掛けた。
「……はぁぁ………政宗殿…………ッ!!」
ようやく1人の空間が持て、壁に寄りかかり崩れ落ちた。
(とうとう想いを告げてしまった………
しかし、嘘ではなかろうか…………
政宗殿が某を………
確かに口が『好きだ』と動いたけれど、本当なのであろうか………
政宗殿…………
貴方の唇が…………)
幸村はぎゅっと目を閉じ、込み上がってくる感情に体が熱くなるのを感じた。
「政宗殿…………許して下され……」
幸村は股間に手を伸ばした。
「ぁ………」
今まで欲を押さえ続けていたため、一度触れてしまえば衝動は堰を切ったように溢れ出てくる。
「政宗殿ッ………」
幸村はジーンズのファスナーを下ろし、下着から硬く反り勃った自身を握り出し扱き始めた。
(政宗殿が愛しい………
もっと貴方と同じ時間を過ごしたい………
そして貴方にもっと触れたい………!!)
「あぁ………某は………なんて浅ましいのだろうか………ッ」
幸村は猛る欲求に嫌悪しながらも手の動きは速まる一方だった。
(あの唇を………もう一度………)
政宗が奪っていった初めてのキス。
思い返すだけで硬さは増していき、先端から先走りが零れ出した。
「あ………ンッ」
幸村は唇に触れながら、政宗を強く頭に浮かべて射精した。
「ハァ………政宗殿…………貴方を汚してしまったことをお許し下さい………」
手に吐き出した白濁の液に目を落とし、乱れた呼吸のまま罪悪感と快楽に包まれた………
×××××××××××××××
オマケ
「幸村ぁああ!!お前なら戻ってくると信じてたぞ!!」
幸村が課に戻ると、慶次が勢い良く抱きついてきた。
「あ、真田が帰ってきた」
「あ〜ぁ………前田の一人勝ちかぁ」
署員はつまらなそうに溜め息をついた。
「あれ?幸村?」
慶次は腕の中で無反応の幸村を解放すると、
「感覚を忘れぬようにしようとしておったのに………」
「おい!?幸村?」
またしても慶次に残る記憶を消されて、うなだれる幸村だった。
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