進め!巨人殺し
ツッコミきれない(リヴァ+ジャン)








「おい、そこの刈り上げ」
「・・・・?」


周囲に目を動かしても誰もいない。
ということは、この失礼な呼び掛けは自分に対してなのか?
そう思いながらジャンは振り返る。



「ッ──────────リ、リヴァイ兵士長ッ!!!!」

そこにいたのは人類最強。
ジャンは自然に最敬礼の姿勢になり、背筋が凍った。

「おい、刈り上げ・・・・お前、確かエレンと同期の奴だよな」
「はいッ!!自分はジャン・キルシュタインと申しますッ」
ジャンは目線の低いリヴァイに畏れ、目を泳がせていた。

(な、何だ?俺が何だって言うんだ??エレンが何かしやがったのか?っつーか、あんたの方がよっぽど刈り上げ、)
「おい」
「は、いッ!!!」
思い当たる節がなく、心の中で思わずツッコミを入れてしまったので冷や汗が流れた。


「お前・・・・エレンの幼馴染みにホの字なのか?」
「は・・・・・?」
(ホの字って!!!!この人言葉のセンスが年寄り臭くないか!?一体幾つなんだよ!)
ジャンはツッコミながらも死の淵にいる気がしていた。


はい。と答えた場合
『色恋になんぞうつつを抜かしている奴は死ね』

いいえ。と答えた場合
『そうか、じゃあミカサを俺の女にするが構わないな』

(えぇぇぇ〜・・・・)
ジャンの想像ではどちらも耐え難いものだった。


「おい、どうなんだ?」
「ぁ・・・・多少なりとも同期メンバー以上の特別な感情は抱いております!」
ほぼヤケクソで返答をした。

「そうか・・・・じゃあお前に任務を与える」
「ハイッ!!」
(ミカサ絡みの任務ってことなのか!?それも兵士長直々に!?)
痛くなるほど心臓が大きく脈を打つ。


「俺はエレンと寝たいから、あの女に邪魔をさせないようにしろ」
「・・・・・は・・・ッ!!??」
ジャンは己の耳を疑った。

(寝る・・・・??淋しいから添い寝ってこと・・・・じゃねぇよな??え?え??)

「アイツのエレンを見る目は気に食わないし、何かと目障りだ・・・・お前が女を落とすなり、牽制しておけ」
「あ、え?」
「手段は問わない」
ジャンはまだ目を白黒させている。

「・・・・新兵の消息など誰も気にはしないからな」
「はい?」
「お前の心臓は俺の手中だということを忘れるな」
「ッ─────────」
踵を返したリヴァイにジャンは青ざめた。

つまり、失敗は『死』である。



「な・・・・んで、俺が・・・・」
リヴァイが視界から消え、ジャンは緊張の糸が切れてその場に膝から崩れ落ちる。

「エレンと寝る?何が?どう?」
巨人に出会した時と同じくらいの絶望感だった。
汗がぽたり、ぽたりと伝い落ちる。


「おーい、ジャーン?こんなとこで四つん這いになってたらライナーに掘られるぞ」
「・・・・・掘、る・・・・」
「おい?ジャン??」
コニーはしゃがみ込んでジャンの顔色を伺った。

「お前大丈夫か?むしろもう突っ込まれた系か?」
「俺は・・・これ以上突っ込みたくねぇ・・・」
「は??お前そっち側の人間かよ」
「・・・・・・」
コニーにツッコミを入れる気力さえ失っていた。


エレンからミカサを引き離す無謀な行動か、
任務放棄もしくは失敗による殉職か。

ジャンの選択肢は、
死ぬかもしれない or 死ぬ




(この世界は残酷だ)







×××××××××××

イジメたくなる残念なイケメン。



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あきゅろす。
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