番狂わせ
9×15(サク×ザキ)R15
914の続き










「赤崎」


これから練習が始まろうとしている時、赤崎は声を掛けられた。

「・・・・ウス」
声の主に目を向けると、堺が顎で『ちょっとツラ貸せ』と指図をしていた。
赤崎は何の用か心当たりがあったので、気が重いが堺の後を追った。





「お前・・・・昨日俺のことジジイ呼ばわりしたみたいだな」
「いや、ぁ・・・・まぁ・・・・」
やっぱり、と思いながら売ったのはどっちだ?とニヤついた丹波と世良の顔がチラつき腹が立ったが、自分以上に不機嫌な顔をした堺を前にしていれば怒りなど失せていく。

「いい度胸してんな、お前」
「伝わり方に誤解がありますけど、言葉がすんなり出てこないことは老化現象だなと思いましたよ」
「ふぅん」
臆することなく意見を述べる赤崎に、堺の眉間の皺は深くなる。

しかし、
涼しい顔をしてさらりと爆弾発言をしている赤崎の心臓は張り裂けそうにバクバクと打ち鳴らしていた。

「随分自分に正直なんだな」
「そっすね・・・・ぐッ!」
堺は赤崎の胸倉を掴み、そのまま壁へ押し付けた。
その衝撃に赤崎は小さく呻いたが、

「ンッ!!??」
次の堺の行動に目を見開き、息を飲んだ。


唇に柔らかな感触、咥内にぬるりと温かい感覚、近過ぎる堺の顔、

これは・・・・


「ん・・・な、何してんすかッ!!!」
赤崎は堺を押し退けて口元をゴシゴシと拭った。

「何って?生意気な後輩の指導だよ」
「は!?意味分かんねぇっすよ!こんな嫌がらせが指導ってッ」
「嫌がらせねぇ・・・」
「当り前じゃないっすか!こんな、男同士で気持ち悪い」
「へぇ・・・・」
ニヤリと口端を上げて笑う堺に赤崎はゾッとした。

「じゃあよ、素直なお前の感想聞かせてくれよな」
「はっ!?な、ンンッ!!」
力強く顎を掴まれ、赤崎は再び口を塞がれた。
舌が乱暴に歯茎や上顎をなぞり、怯えて固まる赤崎の舌を弄ぶ。
2人の唾液が絡み合い、ジュッと音を立てて堺が吸った。

「ッ!!!」
赤崎の身体がビクリと跳ねたのは、堺の膝が脚を割ってきてそのまま太腿で股間を擦り上げたからだ。

「は、・・・んッ・・・」
思わず上擦った声が出てしまって羞恥から全身が熱くなったが、もう赤崎に抵抗出来る術は残されていない。
堺が抑えつける力を弱めたので、身体が崩れ落ちそうになり、赤崎は堺の腕に掴まった。

ぎゅうっと閉じられた眼からうっすら涙が滲む。
抗えない。されるがまま。自然の摂理。


若さ故か、年の功か、


「ッ────────」
突然身体を突き放されて、支えを失った赤崎はその場にへたりこんだ。

「ククッ・・・・どうした?気持ち悪くて腰抜けたのかよ」
「ッ!!!!」
見下ろして笑う堺を睨み上げても、上気した顔で涙目では単なる負け惜しみでしかない。

「これから始まるってのに練習着汚すなよな」
鼻で笑いながらその場を立ち去っていく堺が心底憎らしいと思っても、言い返すこともやり返すことも叶わなかった。

「クソッ!!」
拳を力一杯握って歯を食いしばっても、下腹部に残る鈍い疼きと膝の震えは消えてくれなかった。








「おーぅ、堺!どこ行ってたんだよー?」
「ちょっと赤崎シメてきた」
既にピッチに集まるチームメイトに堺は合流した。

「ははっ!そんな笑顔で言うなよ!赤崎にトラウマ植え付けたんじゃねぇだろうな?」
「さぁな」
丹波は楽しそうに堺の背中を叩いて笑った。

「さ、堺さんの黒い笑顔が超怖ぇぇ」
なかなか姿を現さない後輩の存在が、余計に世良を怯えさせたのだった。






13.09.15
×××××××××
後輩いびりが楽しいね。
若い子にオトナの刺激は強いのよ。

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