番狂わせ
9×5(サク×ガミ)







「堺さんってさ、マジメだよね」
「あ?」


感心するようにしみじみと石神に声を掛けられた堺の眉間の皺は深くなる。

「ちょっとー、褒めてんのに何でそんな親の仇みたいな顔すんのさ」
「お前が突拍子もないことを言わなきゃ普通でいてやるよ」
「地顔が既に凶悪犯だけどねww」
「・・・・」
「あー!!ごめんなさいッ」
堺が無言で拳を振り上げたので、笑っていた石神は慌てて制する。

「でもさー、マジメ過ぎると疲れちゃうでしょー?」
「お前みたいな不真面目な奴等がいなきゃ何ともねぇよ」
「なかなかヒドイこと言うよねー堺さん」
「うるせぇ、自覚しろ」
「はいはーい」
堺は石神を適当にあしらい、
石神は堺をからかうのを止めた。
やはり一つの年の差と言えど、体育会系にはされど一つの差なのだ。

「それで・・・・本題は何だよ」
「ん?」
「あるんだろ?そんな顔してるぜ」
「んんー・・・」
石神は、よく見てるなーと小さく感心した。


「マジメな堺さんを心配してね」
「お前に心配されるほど俺は堕ちてねぇぞ」
「ちゃんと息抜きしないとなーって思うわけで」
「だから何だよ」
話の核心に触れない石神に堺はジレた。


「何て言うか・・・・息抜きで人の道から外れたことしてみない?」
「は?」
やはり突拍子もない。
堺は理解が出来ずきょとんとしていた。

「意味が分からねぇ」
「んー・・・・例えば、俺とセックスなんてどう?」
「は!?」
石神の変人具合に慣れている堺でも一瞬ギョッとした。

「どうせ外すなら思い切って・・・・ね?」
「・・・・はぁ」
石神のニコニコした笑顔に堺は溜め息をついた。


「お前がナースのコスプレでもしてサービスしてくれんのか?」
「え!?堺さんってそういう趣味!?」
堺の予想外な言葉に石神は目を見開いた。

「例えば、に決まってるだろ?何本気に受け止めてんだよアホが」
「ははっ・・・・」
堺が鼻で笑う。あぁ、冗談だったのか。
石神はちゃんと笑えているか不安になるほど動揺したが、表には出さない。

「ホントに〜??」
「当たり前だろ、俺は『マジメ』だからな」
「よく言うよ!マジメはそんな髪じゃありません!」
2人は軽く笑った。


「ただ、お前相手に使いもんになるか分かんねぇけどな」
「えッ」
「えって何だよ、だってお前だぜ?」
「う、わッ!ひでぇ〜」
(俺が突っ込みたい側なんだけど?なんて言えないな)
堺が勘違いしていても石神は本心を口にはしなかった。
それは、堺が不機嫌ではなかったから。


「でもまぁ、相手してやってもいいぜ」
「え・・・・」
ポツリと呟かれ、石神は堺の顔を見た。


「気が向いたらな」
「ッ・・・・」
堺は悪戯っ子のように口の端を釣り上げて踵を返した。


(・・・・その顔ズルイ・・・・)
その場に立ち尽くす石神は頭を掻きながら頭を下げ、
高ぶる感情を落ち着けようと大きく息を吐いた。






13.09.08
×××××××××
サクガミの日には遅刻!
堺さんには恋愛感情はない。
いつもガミさんの一方通行。

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