番狂わせ
９×１(サク×ホシ)
堺さん(岩淵さん)月間第１弾
「ん・・・・」
キスを繰り返すと、鼻から抜ける甘い吐息。
自然に身体はベッドへと折り重なる。
服の中に手を入れて肌の感触と相手の反応を味わう。
押し付け合う股間の膨らみは男の定め・・・・
「ちょっと待て」
「はい？」
さぁ、これからというところで紡がれた言葉。
星野はおあずけを食らった意味が分からなかったが、
自分の下にいて睨むようにこちらを見上げる表情に嫌な予感がしたのは本能だろうか。
「俺にもヤラせろよ」
「は・・・ッ！？」
やっぱり意味が分からない。
「俺だって男の尊厳を保ちてぇんだよ」
「は？え、ちょ」
堺は星野の肩を押し退けながら身体を起こした。
「女抱けば済む話だけどな」
「それはッ！・・・・困るッ」
男として至極当然の行為なのに、星野は嫉妬心を煽られた。
「だったら・・・・」
「へ？」
「そういうことだろ？」
肩を押されてそのままベッドへ倒れ込む。
そして、邪悪な笑顔が星野を見下ろした。
「ちょ、ちょっと！」
ようやく事態を理解した星野は焦る。
「俺、こっちなんて初めてで無理っすよ！」
「大丈夫だろ？男同士のセックスは初めてじゃねぇんだからよ」
「いやいやいや！！」
立場が逆など大丈夫なはずがない。
「無理無理ッ！！」
「無理じゃねぇって、俺だって初めは無理だと思ったけどそうでもねぇから」
堺は星野の服を剥ぎ取ろうと準備を進めていく。
「いや、それは堺さんが今は後ろでイケるくらい慣れてるからイイと思うだけで、実際は入れるトコじゃないから！」
「・・・・男の尊厳っつったよな・・・・」
「ッ！！」
堺の表情がスッと変わった。
星野は必死になり過ぎて失言したと気づいたがもう遅い。
「尻の穴に突っ込まれてあんあん喘ぎまくってる俺なら男のイイトコ十分分かってるから安心しろって」
「いや、あの、言い過ぎました、ね、俺」
堺の皮肉が星野の背筋を冷たくさせた。
「あとな・・・・力で抵抗されたら俺、傷ついて何するか分かんねぇから」
「ッ───────！！」
ニヤリと笑う奴のどこに傷つく要素があるのかとツッコミを入れたかったが、
それ以上にこれからされる行為と、抵抗した場合の仕打ちが怖くて星野は身体を硬直させた。
────────────
「おい」
「・・・・」
「星野」
「・・・・」
堺は布団を被って丸くなる大きな塊に声を掛ける。
「そんな拗ねんなって」
「・・・・・」
「俺が悪かったって・・・・けど、あれは、・・・・なぁ・・・・？」
堺の肩と声が小さく震える。
「あんたねぇッ！！男の尊厳とか散々言ってたけどこっちの方がプライドぼろぼろじゃねぇかよ！」
「だって、あれはよ・・・・ククッ」
ガバッと起き上がった星野の顔は赤く、涙目だ。
「指先がちょっと入っただけで、あんな・・・・」
堺は必死に笑いを堪えて肩を揺らす。
「デカイ図体してるくせにチワワみてぇに震えて、半泣きで・・・・」
「だからって、あんなに馬鹿笑いして『お前じゃ勃たねぇわ』って言われた俺の身になれよッ！！！」
「だってよ・・・・ブハッ」
「クソッ！！！！」
堺は我慢の限界で盛大に吹き出したので星野はまた布団を頭から被ってしまった。
未遂で終わったから星野としては助かったはずなのに、こんなに笑われることは屈辱でしかなかった。
「フフッ・・・・おい、今日はヤんねぇのかよ？」
一頻り笑った堺は声のトーンを落として布団の塊に話しかけた。
「・・・・俺が入れる方か？」
警戒しながら少しだけ布団から星野は顔を出した。
「そりゃ俺がお前で勃たねぇからな」
「・・・・」
「何だよ反応悪いな・・・・ソコもチワワになってんのか？」
「あんたねぇッ！！」
からかうように笑う堺に星野はムカッとして起き上がる。
「じゃあ、穴に入れる痛みを知って怖くなったか？」
「ッ・・・・」
堺の笑っていない眼から星野は視線を外した。
つまり、図星ということだ。
「ハッ！今更気を遣うなんて遅いんだよ！」
「・・・・」
「誰かさんがねちっこく弄りまくったおかげで、俺はすっかり開発されちまったって言うのによ」
「ッ・・・・」
「まぁ、いい・・・・俺が男の尊厳なんて言ってらんねぇくらい理性飛ぶまでヤリたかったけどな」
「ちょ、っとッ！！！」
さらりと煽り文句を言って立ち上がろうとした堺の腕を慌てて掴んだ。
「ヤラないとは言ってないだろッ」
「出来んのかよ」
「泣こうが喚こうが止めねぇからな」
「下手過ぎて泣いたら許してくれよ」
「あんたってホント性格悪過ぎッ」
「そんな俺に惚れてるお前は趣味悪いってことだろ」
「もう、そろそろ黙って」
常にペースは堺が握る。
堺には適わないから、
だから星野は小さな抵抗で、その口を塞いだ。
13.09.01
×××××××××
サクホシだけど結果的にはホシサク。
堺さんは星野にはＳですよ。
優しくないけど甘いの。
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