戦国
残した爪痕(*佐×政)
※続きです









(来ちゃった────)





真田忍隊の頭は敵国の天守閣の上で溜め息をついていた。




(思わず奥州まで来ちゃったけど…………どうしよっかな〜……)





「よくもうちの旦那を傷物にしてくれたな!………………なんちゃって」


「傷になるような無茶なヤリ方はしてねぇよ」

「うんうん………って、何やってんの!?」


佐助は急に背後から声がしたので慌てて身構えた。


「Ah〜?それはこっちの台詞だ!人の城で何やってんだよ?」

「え、ちょっと!城主だからっていっても何で屋根の上に」

「っるせぇ!さっさと降りてこいよ!」



政宗は慣れたように身を翻して屋根から部屋へと入っていった。



(………従者の手を焼く悪ガキだった……ってことかな)



佐助は、屋根を駆け回る赤い鉢巻きが頭に浮かんだ。




軽い苦笑いをしてから佐助も身を翻した。





政宗は自室へと続く渡り廊下を歩いていた。



「ね、竜の旦那………何で俺様がいるのが分かったの?」

「忍ぶつもりもねぇ奴がよく言うよ」

「あはは〜………一応忍の気配なんだから気付かないで欲しいなぁ」




「で、何の用だ」



自室前の縁側には座布団と湯呑みが置いてあり、政宗はそこに腰を下ろした。




(あぁ………お茶しながら俺様を空に見つけたのかな………)


縁側から天守閣が見えた。







「……幸村は泣いてすがり付いてきたのか?」


まだ立ったままの佐助を横目で見上げて口の端をニイッと上げた。



「…………」

「クククッ………我慢のきかねぇ野郎だな……」



佐助は返答に詰まったがため、見通されてしまった。




「どうだ?幸村は……イイ声で鳴いたろ?」






『アッ!ん……アァッ』





「…………」

「あの場所はちゃんと掻いてやったか?………あそこを外すと苦しそうにおねだりしなかったか?」








『もっと………某を………』




顔を上気させながら潤んだ瞳で……


腰を擦り付けて………


だらしなく開いた口からは色に溺れた喘ぎ声が漏れるだけ。






「………」



佐助の脳裏にはあの日の淫らな幸村が鮮明に甦った。



「あの歳で色事に疎いのはお前が避けさせてたんだろ?」



佐助は体の毛が逆立つ感じがした。






「お前の理性と嫉妬を抑え込むために幸村を犠牲に」

「やめろ!!」


「お前は幸村が────ッ!?」




政宗の視界は一瞬で反転した。



「黙れ!!」




佐助は政宗の首に手をかけ、馬乗りになっていた。


肩が上下している。



「……ハァ……ハァ………」


「フッ…………」

「何笑ってんの?今命取られそうになってるってのに……頭おかしいんじゃない?」


佐助の口調は怒気が含まれている。



「いつも……嘘くせぇ笑顔……ばっかしてるから……」



佐助は指の力が弱まってしまった。



「ゴホッ……本当の面はいいじゃねぇか……」





政宗は呆気にとられている佐助の頬に手を添えた。




「………お前が俺より巧くねぇと幸村はいつまでもお前を俺の代わりにするぜ?」



(駄目だ─────これは竜の罠─────)




「幸村の体をお前に染めなくていいのか……?」





(駄目だ──────)






「来いよ………俺が指南してやる………」





妖艶な甘い誘惑─────












障子を締めた室内は薄暗い。



静寂な空間は男二人の息遣いが響く。





クチュ………



「ん………」




(俺様……どうしちゃったんだろ………旦那を抱いたから男の性が抑えられないのかな?それとも………)




佐助は政宗の体を隅々まで愛撫していた。


脇腹に手を添えてへそに舌を這わせながら政宗の表情を盗み見した。




(感度いいよなぁ……白くて細くて色っぽくて綺麗だ……綺麗なんだよな……)



「……ぅ」

「何見てんだよ」

「ははは〜、バレた?」



政宗は佐助の股間を膝で擦り上げながら軽く睨んだ。


「ってかさぁ、足癖悪いって!」

「ククッ……半勃ちじゃねぇか……幸村との情事を思い出してんのか?」

「………違うよ」

「何だよ……幸村はもっと敏感だから不満なのかよ」

「違うってば………」

「お前……………」



佐助は少しイラついた気持ちを指摘されたくなくて目を逸らした。



「ククッ………とりあえず焦らしてねぇで早く俺を鳴かせてみせろよ」




(チクショ〜………何で俺様欲情しちゃったんだろ!)



「優しくしないからね……」

「上等だ………」
















───────


「アッ…………ン……!」



佐助は後ろから腰を打ち付けながら政宗の自身をしごいた。




前後からの刺激に力が入らず、上半身は畳にうつ伏すようなっている。


けれどその体勢故に腰だけは突き出す格好となり、佐助を最奥へと導いてしまった。




「ふ……、ぁん……お前はまだ……達さねぇのかよ……」

「ん〜?俺様って職業柄我慢強いんだよね……」

「俺だけ……吐き出させて楽しんでるって訳か……」

「そんなことないよ〜……」


「……お前………前から入れろよ」


「───はいっ?」




政宗は佐助の首に腕を回して体を捻った。




「俺と向き合って顔見せながらもまだ余裕が吐けるかみせてもらおうじゃねぇか………」

「えぇぇ〜……」



(本当にこの人……俺のこと見透かしてるよな……)


「目ぇ逸らしてんじゃねぇよ」

「ぅ………」


政宗は正常位に向きを変え、バツが悪そうに視線を外した佐助の顎を掴んだのだ。



「本気出せよ……?」



(反則…………)



白い肌に散々愛撫して赤みを帯びた乳首が映える……


快感でうっとりと潤んでいるのに強い光を失わない左目……


不敵な笑みに悩ましげな格好……



どれを取っても今の状況では佐助の理性は刺激されてしまう。



(ヤバイって………)




「んっ………硬くなったじゃねぇか……俺相手に手なんか抜いてんじゃねぇよ」

「あっ………もぉ〜……俺様知らないからね!」



政宗は中を締め付けたのだ。









────────

「ンッ!アァッ!」

「ハッ…ハッ…」



佐助は政宗の両膝裏に手を入れて足を開かせ奥へ奥へとがむしゃらに腰を振り続けた。


政宗は佐助にしがみつきながら荒々しい揺れを受け止めていた。



「あ、アァ───ッ!!」

「ちょ、締めっ……うぁ……!」



政宗は体を痙攣させながら白濁を吐き出した。


それに合わせて結合部も収縮をするので、我慢がきかずに佐助も中で達してしまった。



「はぁ……ハァ……」




二人は体を重ねたまま息を整えていた。





(中で出しちゃった………こんな抱き合う感じで……)


「恋仲みてぇだな………」

「えっ────」




佐助は心に思った言葉が耳元に囁かれ心臓が踊った。



「ククッ………獣みてぇな情事だってのにな……」



表情は見えないが悪戯な笑みを浮かべているのだろう。






「………お前……悪くねぇよ……」

「……どうも……」




急に政宗の声色が変わった。

その真意に佐助は気付いた……というより思い出した。



ここに至る経緯はなんだった?


今、己の心を占めているのは誰?






首に回された腕が解かれたので自然と体が離れ、お互いの視線が交差した。




何か告げようと動いた政宗の唇に、佐助は指を当て声を封じた。



「今は………言わないで………」





二人の蜜事に………

第三者の名前は聞きたくない………



これは独占欲─────







「………分かってんならさっさと失せな」





罠を張った張本人は引き際を間違えない。




佐助は苦笑いを残して影となり消え去っていった。






「いい面だったぜ………猿飛佐助…………」





1人残った政宗は、首に出来た爪痕をそっと擦った………。












×××××××××××××××

佐→幸から佐→政へ移り変わる心情を表すのは苦難でした(汗)

尻軽な佐助は嫌だけどサスダテは大好物なので葛藤しました。

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あきゅろす。
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