戦国
さめない(佐+政)
葉月の三日目────
彼の人が生まれたこの日
今頃は宴だろうか?
「俺だって、会いに行けるもんなら行きたいよ」
幸村が留守なのをいいことに、
まず人には見せないような無防備で
縁側に大の字になってごろごろした。
何故幸村のお守りをしなかったかというと、
『夏の暑さに勝つべく、熱い修行をお館様直々につけて頂くのだぁ!!』
という、只でさえ暑い日に暑苦しいことこの上ないので、見送って今に至るのだ。
「平和だなー…………」
蝉の声を聞きながら、やる気も起こらず目を閉じる。
目蓋の裏に思い描かれるのは、
背筋がぴんと伸びた蒼い陣羽織………
天に向かって輝く弦月の前立…………
「…………会いたいなぁ………」
本心が滲み出て声となる。
「だったらお前が来いよ」
「ッ────!!!」
想像にしては鮮明な声が不意に聞こえて飛び起きた。
「会いに来てやったぜ?」
「え、えっ?なな、エッ!?」
「忍が気配に気づかないって、弛い屋敷だな、おい?」
呆気に取られている佐助を見下ろす眼差しや、吊り上げた口元
間違うことなく奥州では今日が主役である竜がそこにいた。
「ちょ、何で、え、」
「お前に会いてぇからに決まってるだろ?」
「だ、だって、今日はあんたの生誕日で………宴や祭りなんじゃ…………」
俄に信じ難い目の前の人物に佐助は戸惑い、距離を取ろうとするも
「え────」
馬乗りになってきて、身動きは制限される。
「何度も言わせるなよ…………」
「ぁ…………」
「お前に、会いてぇから来たんだ」
濃紺の着流しに身を包んでいるので
馬乗りになれば自然と着物の合わせ目が乱れ、
誘うような白い内ももがちらりと覗く。
「ぁ、は…………」
「お前は俺に何かくれねぇのか?」
胸板を指がなぞっていく
「なぁ…………お前が欲しいって言ったら」
「アッ────」
下半身をすり寄せれば、互いに隆起したものが当たり、より強い刺激となる。
「どうする…………?」
「いいの………竜の旦那?」
「あぁ…………早く、お前が、欲しい」
ほんのり頬を上気させながら、懇願されたら断る理由を見つけることなど不可能だ。
「ッ────」
「…………俺をもらって」
一気に体勢を引っくり返し、乱れた鷲色の髪を撫でながら顔を寄せる。
「いい…………?」
「あぁ…………いっぱい欲しい…………」
「ッ────う、そ…………夢みたい」
首に腕が回されて、悩殺的な政宗に目眩がしそうだ。
「夢…………?」
「うん…………こんなの、嬉しくて夢みたいだよ」
「そうだな…………」
「え?」
「夢に決まってんだろぉが!!俺がてめぇを誘うわけねぇ!!!」
────…………
「ハッ────!!!」
息が止まる程の衝撃
「ゆ…………夢だよ…………な?」
飛び起きて荒れた呼吸を整える。
全身に不愉快な汗を感じ、顎から滴り落ちる汗を拭う。
「くそ猿め…………勝手に夢ん中に出てきて、変なもん置いていきやがってッ!」
政宗は呪うように罵倒する。
現ではあり得ないと分かっているのに、
夢は覚めても
身体の熱は冷めていない。
「クソッ…………!!」
祝いの日に認めたくない熱が引くまで、政宗は身を抱き締めた。
11.08.03
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政宗様、生誕記念小説。
夢オチでヤリ逃げました(反省)
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