戦国
星空の下(政+佐)
※七夕小説『笹に願いを』の続きです
「戦況は……」
武田と上杉の戦い……
政宗は馬の歩みを止めて、丘の上から眼下を眺めた。
「会いに来ちまうなんて……我ながら女々しいな」
政宗は佐助に会いたい衝動が抑えられず、奥州から馬を走らせて来たのだ。
「武田はどっちだ……?」
2つの陣営に篝火が灯されていた。
「行くか!」
政宗は馬を走らせた。
──────
(こっちは当たりか?外れか?)
「ッ!?」
一つの陣営に近付こうとしている時に、木々が揺れた。
カキィーンッ────
金属がぶつかり合う音がした。
「竜の……旦那……?」
「………会いたかったぜ……Honey」
刀と苦無を下げた。
「知った香りが風に混じってる気がして来てみれば……どうして此処に」
「……………」
政宗は無言で佐助の顔を見つめた。
「ひでぇ有り様だな……」
「ははっ……俺様油断しちゃったよ」
月明かりで目を凝らして見てみれば、
佐助の装束は血で汚れ黒い染みを作り、破れた奥には白い布が覗いていた。
「さっきまで気を失ってて………目が覚めた時、戦地に似つかわしくない香りを感じたんだ」
政宗は少し青白い佐助の頬に手を添えた。
「みんな気が高ぶってるんだから……一人で陣営に突っ込んで何かあったらどうするつもりだったのさ」
佐助は政宗の腰に手を回した。
「お前がいるだろ?」
「あぁ………俺様も高ぶってるから、旦那の色香にクラクラするよ」
美しい竜の貞操を心配しながら、それを独占する優越感に笑みが溢れた。
唇を重ね合わせてからそっと抱き合った。
「………嘘みたい………此処は極楽じゃないよね」
政宗の肩口に顔を乗せ、香りを楽しむように吸い込んだ。
「ククッ………」
「何?」
腕の中で肩を揺らしながら笑う恋人に問い掛けた。
「……まさか本当に川を渡りかけてるとはな」
「今花畑が見えてるけど……きっと旦那が戻してくれたんだろうなぁ」
佐助は幸せそうに目を閉じていた。
「ククッ……向こう岸に行ってたら年に一度だけだったぜ?」
「え………」
佐助は一瞬言葉の意味が理解出来なかったが、
「えっ!七夕?嘘ッ!?」
佐助は身を離し政宗の表情を見ると、少し照れ臭そうな笑顔があって確信した。
「旦那ッ」
七夕という日に感化され会いに来たいじらしさに、先程よりは強く、もう一度抱き締めた。
「俺………一年に一度なんて耐えられないから七夕様にはなれないけど、何度も川だって山だって越えて会いに行くよ」
「あぁ………待っててやるよ」
政宗は佐助の背中に腕を回し目を閉じた。
満天の星の下、二人は抱き合い口付けを交わした。
今宵は七夕
恋人達の夜─────
×××××××××××××××
く、くすぐったい!!
甘々過ぎてギャグなのかと思ってしまいます(自爆)
でも……好きです(死)
月遅れの8月7日も七夕ということで続きを書きました。
この先は破廉恥一色ですよね〜
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