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2代目拍手お礼C(ゴーイエ)
ゴールド×イエロー
いつか本物あげるんで、
今はこれで我慢して下さい。
はにかんだような笑顔を見せて彼が差し出した右手からこぼれ落ちたそれは
銀色、の。
「…あ、の」
これは、と言おうとした声は喉の奥からひゅうと息が漏れただけで終わり、言葉にならならないまま掻き消えてしまう。
てのひらのうえ、太陽の光を受けてきらきら光る小さなそれは、なんだかとても僕なんかには勿体無い神聖なもののように思えて、心臓のどきどきという音がだんだん速く鳴りだして、瞳の奥がじわ、と滲んで…ああどうしよう、なんだか泣きたいくらい嬉しい。
「あ、りがとう…ございまっ…」
震えた声が上手く言葉を紡いでくれなくて、それでも僕はこの気持ちを彼に出来るだけ伝えたくて、ゆっくり、噛み締めるように音を発していく。
焦ったように、そんな泣かないでくださいよ先輩、と言って苦笑する彼がぽんぽんと僕の頭を撫でてくれて、だからなんだか余計に涙が止まらなくて、そういえば彼は何て言ってくれたっけ。
いつか本物あげるって、確かにそう聞こえたのは、それって、つまり。
「ちょっと借りますね?」
そう言って僕の手からその小さな銀色の指輪をそっと手にとり、僕の左手の薬指にそれをはめると彼は笑顔で、僕の一番好きなその笑顔で、
これでずっと一緒ですね
と言って、真っ赤になりながらうつむいて、そんな彼を心からいとしいと思えることすら嬉しくて、僕も微笑んだ。
ごしごしと涙を拭って、今度こそちゃんとありがとうございます、と伝える。
「俺、先輩がだいすきなんスよ」
なんの臆面も躊躇いもなくそう言い放つ彼の笑顔を見ていたらなんだか無性に すきです と、伝えたくなって、笑顔がこぼれて、多分こんな瞬間を人は幸せって呼んでいるんだろうと
思った。
「僕、今とても幸せです」
そしてそれはあなたがだいすきだから。
そう言って笑い返せば、赤くなった顔をそむけた彼がぎゅっとてのひらを握ってくれた。
そのてのひらに伝わる熱が、いつかお互いが当たり前に隣にいる未来、そこにたどり着く道標になりますように。
そんな祈りを込めて握り返したてのひらが繋いでいるのは多分幸せな未来なのだと、今だけは確信も無しに信じることができた。
END
なんだか私の中ではもう定着した感があるゴーイエですが、なにやらかにやら進展早いのか遅いのかわからんふたりですなあ…。
甘いほのぼのを目指したつもり、です。
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