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2代目拍手お礼B(電李)





デンジスモモ






映る。



くるくる回るいくつものあどけない表情が、映る。

だから触れたくなって手を、延ばし、て。
延ばしかけたてのひらはふいに力を失ってだらしなく地へ向かう。

ああもうどうして、

どうしてこんなに。










「おきてくださいっ」




ああまた始まった。
最近の朝の恒例行事。

なんでまたこんな面倒なことになったんだったか、そうだ確かこの前街で偶然会ったときにうっかり稽古でもつけてやろうかなんて馬鹿なこと冗談半分で持ちかけたら、すっげぇ嬉しそうな顔してはいお願いしますなんて言い出したから、なんつーか今更引き下がれなくて、そうだそれだ。

なんて寝覚めの鈍い頭を無理矢理回転させて考えてるうちに軽く布団を剥がされる。
ちょっと待て寒いだろいきなり、と抗議をしながらうずくまる俺の背中に容赦なく触れるそれは彼女のちいさな冷たい手。
そっと触れるその冷たい手は一体何の手品がかけられているのだろうか、俺のまどろみかけた瞳をいとも簡単にひらかせる。
ついでに鼓動も速くなる。

起きてくださいよーと言いながら懸命に俺を揺さぶるその小さなかじかんだ両手が冷たいままなうちは絶対に起きてやるもんかと目を閉じる。

本当ならすぐにでも起き上がってきっとその手と同じように冷えきっているだろう剥き出しの肩を抱き締めて暖めてやりたいけれども、俺たちはそんな甘ったるい関係じゃないし。



(…まだ冷てぇし)



俺の背中を揺らし続ける少女の手はさっきよりも幾分かはあたたかくなっていて、それでもまだ指先なんかは冷たい。つぅかこれ、冷え症か?それならそれでもっと着込めばいいだろ馬鹿か。




「…デ、」
「うるさい」




馬鹿は俺だ。


寝惚けたふりでぎゅっと乱暴に手をつかむ。
寝返りをうちながら、少女の小さすぎる冷たいてのひらをぐいっと引いて、当たり前だけどそしたらバランス崩したそいつの上半身がどさりと降ってきて。



(…つめたいっつの)



「すこし、あったまれば?」





もしも神様ってやつがいるならせめて、こいつに見えないようにそむけた頬が柄にもなく赤くなってたりするのがばれないようにしてよ頼むから、なんて投げやりになった頭でぼんやりと考えてもう一度きつくきつく目を閉じる。



くるしいですよとささやかながらに抵抗した、そいつの小さな声も聞こえないふりを、しながら。



(…くるしいのは俺だっつの)



馬鹿、と胸の中でこっそり呟いた言葉は果たして誰に向けたものだっのか、まどろみかけた俺の意識には曖昧にしか響かなかった。






END



多分初な電李。
ほのぼのなデンジさんとスモモちゃんが大好きです!

ほわー**

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