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初代拍手お礼(ゴーイエ)
こんなはずじゃ、なかったんだ。
この日の為に頭の中で何万回も繰り返した台詞が頭をよぎる。
何度も何度も心の中で反芻して、口に出そうと勢い込んでは不安でしぼんで飲み込んで、笑われるかもしんないけど俺はそんだけこの人の事が好きで好きで。
ようやく、言えたのに。
「…キス、してもいいッスか?」
きっと俺今顔赤い。
開口一番にそんなことを考えた。
ちょっと驚いたような顔をして目を見開いたイエロー先輩の頬がみるみる赤くなっていく。
うつむいて恥じらいながらも微かに頷いた先輩が、視線を上げるとぴたりと俺の目線に重なって、ただそれだけのことなのにどきりと心臓が跳ねた。
「いい、ですよ」
はにかみながら微笑んで、瞳を閉じるその仕草にさえどぎまぎしている俺はきっと、かなり緊張している。
汗ばんだ掌をハーフパンツに擦り付けて、喉に詰まりかけていた酸素を吐き出し、彼女の両肩を震える両手でそっと支えて。
えっとこういう時は顔を傾けるんだっけ。右に傾けようか、それとも左に?
あ、睫毛長い…
「ごーるどぉおぉ!!」
!?
地の底から轟くような声に、閉じかけた瞼が開く。
草むらの陰から聞こえたその声のした場所からは、ちょっとグリーン今いいとこだったのに馬鹿ねぇとか言いながら、凶器を振り回すグリーン先輩のトンガリを掴んで笑うブルー先輩や、顔を赤らめて興味津々な目でこっちを窺うレッド先輩がいて、つか、え、何これ嘘だろ俺の一生分の勇気どうしてくれんのマジで。
茫然としてイエロー先輩をちらっと見ると、彼女は彼女で戸惑った表情をして俺を見上げている。
ああもうこんなはずじゃなかったのに。
「…先輩方」
ぴた、と動きを止めたはた迷惑な乱入者の方々の視線が一斉に俺に集まる。
俺は最大限のにっこりスマイルを浮かべながら、馬に蹴られるくらいじゃ死にそうもないこの恋路の邪魔者たちを駆逐すべく、本日何度目になるかはわからない深呼吸をして、右拳を鳴らした。
***
初めての拍手お礼で初めてのゴーイエ文でした(笑)
案外好評だったのが嬉しかったです。
このゴーくんはちょっと黒いですね(汗)いや、書いてた本人は楽しかったです。それにしてもうちのブルーさんは事あるごとに最強ですね。
でも本当は弱い面を見せないように必死で強がってるんだったらいいなと思います。
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