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赤い○○と緑の××(カントー組)


「…納得いかないわ」



沸騰しかけてしゅんしゅんと音をたてているやかんを目の前にブルーはつぶやいた。



「これだけは…譲れない!」




何かを決意したように大きく頷いて、ブルーはやかんを火からおろしたのち、彼女の幼馴染みの少年二人が恐らくいるであろうマサラタウン郊外に向かう。

その両手に彼等の名前の色をした二つのインスタント食品を持って。








マサラ郊外への移動中、ふと見慣れた黄色い髪を目にとめてブルーは思わず身を乗り出す。

「…んん!?」


そこにいたのは自慢のポニーテールをなびかせて鼻唄まじりに歩くイエロー。

うん、やっぱ今日も可愛いわねぇ我が妹(みたいな存在)よ!
おめかししちゃって誰に会いに行くつもりなのかしら。レッド?グリーン?

レッド…グリーン………あ!そうよそうだったわ。私もその二人に用があるんじゃない。


丁度いいわ。
どうせ行き先が同じならあの子も連れて行きましょ。
根拠の無い自信に溢れた解釈をして、イエローの上空へと向かう。





「イエロー!」
「あ、ブルーさん!こんにち…」
「乗って!!」
「えぇ!?」



突然のことに何がなにやら分からずにいるイエローを、いいから早くと急かしてプリンの頭の上に押しやる。
その拍子に、

(…あ、)

水玉なんてまだまだ子供ねイエローったら。
かたやホホホと笑いながら、かたや状況が分からず混乱しながら、ブルー達一行はマサラタウン郊外へと近付いていった。










「…なぁグリーン」
「なんだ」
「なんか嫌な予感がするんだ」
「…奇遇だな」



俺もだ、と言ってグリーンは既に休憩に入ったレッド同様、修行の手を止める。

その時、やはりとばかりにブルーの高笑いを聞き二人は空を仰いだ。



「…来たな」
「ああ」



大きなプリンに乗ったブルーとイエローはレッド達の上空からぱっと降り立ち、そしてブルーはにこりと笑って話を切り出した。



「どうしても納得いかないのよ」



…何が?

ブルー以外の三人は頭の上にクエスチョンマークを浮かべて問い返す。

ブルーは鷹揚と笑んで両手に持ったインスタント食品を三人の目の前に差し出した。



「赤い…きつね…と、」
「緑の、たぬき?」
「…ですね」



これがどうしたんだと言わんばかりに眉を寄せた三人は更なる疑問符を浮かべてブルーの顔を見る。



「よくみなさい!」

ブルーは勢い込んで言った。



「どう考えたって緑(グリーン)がキツネで赤(レッド)がタヌキだと思うのよ!!」




…はぁ?



間の抜けた息を洩らし、三人はブルーを呆れた目で見る。しかしそんな目をものともせずブルーは熱弁を奮い続けた。



「つまり、アタシが納得できないのは『赤』がきつねで『緑』がたぬきと表記されていることなの!どうみたってたぬきがレッドできつねがグリーンじゃない!むしろそれが然るべき姿なのよ!!」




これだけはどうしても譲れないわ!と息を撒くブルーの目は本気で、さすがにそれはレッドとグリーンに対して失礼じゃないのか、とか、ぶっちゃけどうでもいいんだけど…だなんて、とてもじゃないが報復が怖くて突っ込めない三人は、確かにレッドはきつねには見えないしグリーンはたぬきにゃ出来ないなと変な納得をしつつ、ブルーがそのインスタント食品の製造会社に商品の名前について抗議をしたりしださないよう祈るばかりであった。






END


***

(実話)



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