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春を覚えず(高銀) *


「…っは…痛ェ…」
「ククッ、ならもっと痛そうな顔しろよ」


どうしてこうなったのか全く記憶にない。酒を煽りすぎたかもしれないし、ふとした拍子に頭が沸いたのかもしれない。
気付いたら男二人で閨に潜り込んで、無意味なことを始めていた。例え意味があったとしても、コイツの餓鬼なんて孕みたくないけど。


「…動かねぇの?」
「いいのか?」
「どーぞ」

初めてにしては余裕があった。コイツが相手だからだろう。恥は曝したくねぇ。
高杉は首元に汗を光らせ、貪るように最奥に突っ込んだそれを引いた。腸壁が擦れて変な感覚がする。戯れにやってみたのはいいが、失敗だった気がした。自分で自分のを弄った方が断然いい。

ぽっかり空いたそこに安堵感を覚えた頃に、またグッと押し込まれた。

「…っ…」
「落ちんなよ?」

高杉が頬を抓ってきた。また随分と可愛いことを。整わない息でハッと笑ったら、舌打ちをして咥内に舌を捩込んできた。

息苦しい中で目を開けると、必死に舌を絡ませてくる高杉の姿があった。もしかして俺って愛されてる?いやいや、有り得ないだろ。別に嬉しくないし。

最後に俺の唇を舐めて、俺から離れた時には、高杉の目は欲に濡れていた。スルリと内股に手を忍ばせ、俺のそれを根本から辿る。すると、俺から何かが垂れた。

二人の男が喉を鳴らすのが聞こえた。



「…っは…あぁっ!」

ぐちゅりと音がして、俺の中をそれが出入りする感覚がぐるぐると体中を駆け巡った。宙に浮いたような気分だ。

「銀…っ!」

俺の膝裏を押さえながら、高杉は俺を揺さ振った。

何かを掠めていくこの感じは一体何だろう。もう少しで何か得られるような、逃げたいような。少し腰を動かしてみる。すると、言い知れぬ快感が俺を襲った。

「――アアア…ッ!」

正直これはまずいと思った。目の前がチカチカして、焦点が合わない。抜け出そうとしても溺れてるかのようで足掻くことしか出来なかった。

「銀…ッ?大丈夫か?」

高杉が荒い呼吸を繰り返しつつ聞いてきた。声は聞こえるが、どこにいるのか分からない。
夢中で頷いて、解放を求めた。

「頼む…から、早くっ…!」

情けねぇ。ボロボロじゃねぇか、俺。喧嘩しかしないような奴に縋って、喘いで。…もうどうでもいいか。

「やッ、ああっ…アアアッ!」

激しくなった突き上げ。酸素を拾うのに精一杯だ。
ジリジリと絶頂が近付いている。首を振ったところで何も変わりはしないけれど、堂々と受け止めるよりマシだ。

高杉の腹で擦れるそれの刺激も合絡まって、俺は空へと吹っ飛んだ。





「ダリぃ…」
「そうかァ?」

布団の上で伸びる俺を、高杉は笑った。うぜえ。ほんとぶん殴ってやりたい。

「たまにはいいかもしれねェな」
「ふざけんな」

俺はお前のダッチワイフか。
次やる時は逆がいいっての。次なんてない方がいいけど。


「…で、どうだったんだ?」
「………」
「銀」
「……悪くはなかった」


高杉に枕を全力で投げつけ、布団に包まり目を閉じた。


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