砂時計をひっくり返す 2 (──…お、重) いつまでも家の前で途方に暮れている場合ではない。 仕方がないので荷物を置き、男を背負い、いつか建て直させると思いながら門を開けた。 男は着衣が濡れているせいか、予想よりも重たかった。 「…よっと、」 玄関に男を下ろし、タオルを取りに洗面所に向かった。 昨日畳んだバスタオルを持ち、再び男の元へ戻る。 当然ながら、その場から動くことなく横たわっていた男のシャツを脱がし、髪の毛とともに拭った。 ある程度水分をバスタオルが吸ったところで、ソファーに男を運び、レジ袋とカバンを取りに外へ出た。 ないだろうと思っていたが、やはり心配だったため、短い距離を急ぐ。 盗まれることなく、戦利品とカバンは置いた場所から動かされることなく鎮座していた。 …ハァ。 溜め息を一つ溢し、台所まで運んだ荷物を冷蔵庫前に下ろす。 ソファーの男には己のスラックスを履かせ、毛布を掛けておいた。 (──…さて、) これからどうするべきか、思案する。 すると見計らったように絶妙なタイミングで携帯が鳴った。 鳴った、と言ってもバイブレーションなのだが…。 サブディスプレイで発信者を確認すると、隣に住む幼なじみだった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |