死にたがりのアイロニー
3
──あぁ、そうか。
昨日、クラスメートの女の子に告白されたのだ。
春樹以外を好きになる予定は今後も一切ないためもちろん断ったが、その時春樹が見てしまっだろう。
「バカだなぁ」
「…っ」
「春樹以外と付き合う気なんてないよ」
可愛い可愛い恋人は、事実死にたいと思ったのだろう。
思わず呟いた、そんな声色であった。
しかし、死なせるわけにはいかない。
最期を見届けるのは、自分でありたいと思う。
それこそ、死んでいるところにもう一度自分の手で、刃物を刺すくらい。
「俺を犯罪者にしたくないなら、死なないでね」
そう、そろそろ食べ終わらなければならない弁当を再び突きながら、おどけて言うと、春樹は目を見開いた後、綺麗な、満面の笑みを浮かべた。
「じゃあ、今から」
「ちょ、おばか!」
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