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死にたがりのアイロニー
2


春樹は自分の事にすら自他共に認める無関心だ。
今でこそ、芳樹に言われ寝食くらいはきちんとしているが。
芳樹には過去の自分が見たら驚くほど意識して接している。
彼が、己以外とそういった、甘いと言われるような雰囲気になっていればすぐに気が付いてしまうくらい。

──死にたい、なんて言っても君は理解できないだろうね。

女の子に告白をされ、申し訳なさそうに断る芳樹を見て春樹はいつも悩んでいた。

──なぜ自分は男に生まれてしまったのか。

──なぜ可愛らしい女の子に生まれなかったのだ。

答えの出ることはない自問自答が頭の中で繰り返されていた。
もちろん、そんなことを芳樹が理解できるはずがないこともちゃんと理解していた。

──もう、こんなに苦しむのは嫌だ。

芳樹と共に昼食を摂っているときでさえも、そんなことを思ってしまう自分に嫌気が差してとんでもないことを口走ってしまった。

──あぁ、困らせてしまった。

春樹の発言に、困りながらも僅かに悲しみを浮かべる芳樹を見て罪悪感が湧く。
本当に、何でもないのだ。
芳樹に非なんてあるわけがない。

「…殺してやるよ」
「…え?」
「春樹を殺して、俺も死ぬ」

──そうだ、こういう男だった。

欲しい言葉も、悩みもノーヒントで与えてくれる男なのだこの芳樹という男は。
それでなければ、自分が一緒にいれるわけがない。


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あきゅろす。
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