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小説 1−8
嵐のビジホ・5 (にょた・R18) 
 メインの照明を落とした中でも、三橋の表情はハッキリ見えた。
 真っ赤な顔して、恥ずかしそうに目を閉じて、口を半開きにしたまま閉じらんねーでいる。
 喘ぎ方も知らねーみてーに息を詰めて、ただ、オレに身を任せてる。
 下着を脱がせたときも、やっぱ抵抗しなかった。
 ただ、立たせたヒザを押し開き、何もかも丸出しにさせると、「やっ」と小せぇ悲鳴を上げ、両手で顔を覆った。
 その反応がスゲー新鮮で、ウブでスレてなくて、ますますそそられた。
 もう今更、「待って」って言われても無理だ。
 色の薄い性器は濡れ始めてて、そっと触れた指先を濡らす。びくんと跳ねる腰、閉じようとするヒザ、息を詰める様子も、なんか可愛い。
 指を1本沈めただけで、きゅうっと締められて、キツそうだなと思った。
 いくら好きだっつったとしても、付き合ってもねぇ男の前で、無防備に肌を晒した癖に。やっぱ天然? あんま経験ねぇんだろうか?

 ともかく、もっと濡らさねぇと挿らねぇ。
 ローションも潤滑ゼリーも何もねぇし。ぐいっと脚を押し開き、手っとり早く濡らしてやろうと、塗れたソコに顔を寄せると、三橋がひゅっと息を呑んだ。
「……あっ」
 上擦った声に誘われて、ちゅうちょなく中心に舌を這わせる。
 とがらせた舌先を肉ひだに埋め、甘い蜜を味わいながら、そこに唾液を混ぜ合わす。
 ふわっと香る花のニオイ。キレイな色のままで濡れる性器も、小さくとがらせた肉芽も、他人の手垢を感じさせねぇ。
 オレが色付けてやろうって、征服欲が沸き上がる。

「あ……やっ……なん、で……?」
 三橋が切れ切れに息を詰めながら訊いた。
 なんで、って。訊きてぇのは舐める理由か? それとも、オレが舐めんのをやめねぇ理由?
「濡らさねーと、挿んねーだろ」
 前者の理由を口にして、仕上げにべろりと肉芽を舐める。三橋は小さく悲鳴を上げて、いやらしく腰を浮かせた。
 後者の理由は、自分にもよく分かんねぇ。
 頭ん中は、精液が溜まったみてーに真っ白で、理性もあんま残ってねぇ。
 色白のキレイな整った肌、すっぴんでも変わんねぇ顔、潤んだデカい目に長いまつ毛。細くくびれた腰も、手のひらに収まる胸も、柔らかな髪も、何もかもが好みで。
 今まで必死に「ない」って自分に言い聞かせてた、なけなしの理性も吹き飛んで、今はもう、挿れて揺すって出すことしか頭になかった。

 濡らした股間から顔を上げ、口元をぬぐいながら、三橋の上に覆い被さる。
「濡ら、す?」
 顔を覆った手の隙間から、震える声で三橋が訊いた。
 邪魔な両手を引き剥がすと、目の前に現れたのは真っ赤に染まった後輩の顔だ。はふはふと細く息を吐いてて、酸素を求める金魚みてぇ。
「そう。ちゃんと濡らさねーと、挿んねーよ、コレ」
 コレ、と言いつ手首を掴み、オレの股間に導くと……熱く固く勃起したモノに触れた瞬間、三橋がびくんと手を引いた。
「ははっ」
 何だ、その反応?
 怯えたように肩を竦めて、ぎゅっと目を閉じて顔を背けて。んな顔見せられたら、ますます止まんねぇ。

「……阿部、さん」
 震える声で名前を呼ばれて、「おー」と返事しながら細い足首に手を伸ばす。
 いつの間にか閉じてたヒザを容赦なく押し開き、そそり立つ肉の杭を押し下げて、入り口を先端で掻き回す。
 三橋の顔は、とんでもなく赤い。
 目をギュッと閉じて、息を詰めて、オレの動きをうかがってる。
 抵抗されても、今更やめらんなかったと思うけど、抵抗はなかった。「いや」とも、「やめて」とも言われなかった。
「挿れるぞ」
 我ながら上ずった声。短く宣言して、ずっと腰を進めると、思った以上にキツくて――先端を埋めたとこで止まって、スムーズには挿んなかった。
 頭ん中は白く濁ってて、それがどういう意味なのか思い至らねぇ。構わずぐいっと体重をかけ、脚を抱えて細腰を引き寄せると、「あっ」って声と共に、貫けた。

 狭い。濡らしがまだ足んなかったか? けど、もうあれ以上は待てなかった。今だって、獣みてーにガツガツ腰を振りてーのを、必死で抑えてる状態だ。
 三橋はと見ると、いつもの頼りねぇ下がり眉をぎゅっと寄せて、浅い呼吸を続けてる。
「三橋、痛ぇか?」
 ゆっくり動きながら訊くと、ほんのかすかに首を振られた。
 どう見ても経験値は低そうで、「痛くねぇ」っつーのもウソっぽい。
「こわばると痛ぇぞ、力抜け」
 囁いて深くキスすると、シーツを掴んでた両手が、オレの背中に回された。

「ん……んっ、う……」
 塞いだ口から、動くたび小さく漏れる声。
 ゆるく揺さぶるたび、少しずつ濡れて来てんのか、締め付ける力が緩くなる。ぬるぬると滑りも良くなって、ゆるい抜き差しでも気持ちイイ。
 三橋は? まだ眉間にしわが刻まれてるけど。
「せんぱい……」
 唇を離すと、細い声で呼ばれた。
 そっと開いたたまぶたから、琥珀色の目が覗く。その目がゆらゆら揺れたと思うと、つうっと大粒の涙がこぼれた。
「……好き、好き……!」
 3度目の告白。背中に回された腕が、ぎゅーっとオレにしがみつく。
 ぶるっと背筋が震え、熱い衝動が沸き上がった。

「おっ前……!」
 言いかけて、言葉に詰まる。この今の気持ちを、どう口にしていいか分かんねぇ。
 分かんねーままギュッと抱き締め、もっかい深く口接ける。
 舌を絡め、舌を吸い、口中を夢中で舐め回す。
 ぐちゅぐちゅと掻き回すように奥を突き、かすかな喘ぎを耳にする。この、歓びはどういう意味か?
 自分の気持ちを、認めずにはいらんなかった。

(続く)

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あきゅろす。
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