セイレーンの恋/完結
最悪の狩り
新しくコロニーに増えた仲間達の為、気が乗らない狩りへオリンピアは情報のあった岩場にて待機していた。
今回のチームはオリンピアとアイーダのみ。
情報によれば小さな商船が近くを通る。
そういう情報だった。
規模として小さな船
だから少数チームでの狩りとなった。
情報通りあまり大きな帆船ではない船が待機していた岩礁の近くを通る。
今回の指揮はオリンピアだった。
幾度となく取り仕切った指揮を何なりと済ませさざ波のような歌声が静まりきった海へこだまする。
ただ、コロニーの者達の為だと言い聞かせ存分に海のディーヴァのデュエットがさざ波のように優しく、残酷な歌を奏でてゆく。
そして船は止まり、何時ものように一方的な虐殺とも言える狩りが始まった。
虐殺をするはホフマンとラダメス。
鍵爪で肉を裂きただただ作業のように眠りについた者達を肉塊へと仕上げていく。
そして、ホフマンの目にある眠りについた船員が止まった。
(…あいつだ………)
リンクした視覚にオリンピアは驚愕する。
残酷すぎる再開。
忘れもしない、あの船員が、眠っていた。
そして…
ラダメスの爪が彼の体を外の船員同様に引き裂いた。
「ああああああああああああああ!!」
岩礁に待機していたオリンピアは思わず狂乱の声を上げた。
翼を広げ船へと一目散に羽ばたいてゆく。
そして流れる涙も隠さず、アイーダが後を追う。
沈黙したままのアイーダ。
船へと到着したオリンピアは、その肉塊と化した船員へ近づき、唯一残った首に接吻する。
「これもコロニーの為だ」
ラダメスがただ無機質な声をかけるがオリンピアは何も反応しない。
ただ、船には沈黙だけが残されていた。
ラダメスとアイーダは何時もの様、袋へと肉を詰めていく。
ただ、ホフマンは呆然と首を抱いて泣く自らの片割れを見るしかなかった…
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!