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念入りにお化粧を

夜7時40分、
約束の5分前。

わたしはまだ女子寮にいた。

そろそろ行こうとして、何気なく鏡を見た。

「・・・やだ」
可愛くない顔。

化粧しなおそうと思い立って、洗面所に向かう。

ビューラー、マスカラ、アイシャドー。

念入りにやるうち、気づけば時計の針は55分を指していた。

リーマスはきっともう待っているだろう。

わたしは慌てて部屋を飛び出した。



「リ、リーマス」

やっぱりリーマスはもう談話室にいた。
ソファに座っていた彼は、息を切らした私を振り返ってふわりと笑った。

「じゃ、行こう」

「どこへ?」

リーマスは立ち上がって談話室を出て行こうとする。
わたしが首を傾げて聞くと彼はさらっと答えた。

「2人でゆっくり話せるところだよ」




たどり着いたところを見て、わたしは吹き出した。

「なんだ、必要の部屋のことか」

3年生の時にわたしとシリウスが発見した隠し部屋だ。

それからというもの悪戯の会議などによく利用したものだった。

リーマスは頷いて、「ちょっと懐かしいよね」と言った。

確かに、最近は利用する回数がめっきり減っていた。

リーマスが扉を開けると、とても居心地のよさそうな、かわいい部屋が現れた。
ふかふかのソファ、ローテーブル、クッションにぬいぐるみ。

「わぁ、すてき」

わたしはうきうきした気分でソファに腰掛けた。

ふかふかのソファでくつろぎながらリーマスとお喋りだなんて、幸福の極みね。
わたしはそう思って自然と笑顔になった。


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あきゅろす。
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