僕たちは、いつも R18
それは、そろそろ一日の業務が終わりを迎えるかという時刻の事。

陸軍省の一室、陸軍の長たる山縣の執務室に、一人の男が怒鳴り込んで来た。

「山縣ぁーっ!」

不躾とも言える程勢い良く扉を開け放ち、怒声と共に乱暴な足取りで室内へと入って来たかと思えば、執務机に備え付けの上等な椅子に、ゆったりと腰掛ける山縣の横に立つ。
大きな瞳は怒りの色を含んで、山縣へと向けられて、余程慌てて来たのか、それとも怒りで呼吸もままならないのか、肩で息を繰り返す。

「……騒がしいのぅ…山田…」

うんざりした様に冷たい視線を、横に立つ山田に向けて山縣が呟く。
その一言に、ピクリと眉を寄せ山田は、激しく机に拳を突き立てた。

「人を簡単に呼びつけおって…ワシだって忙しいんじゃ!」

容赦ない怒鳴り声が室内に響く。
しかし山縣は、わざとらしく盛大な溜め息を一つ漏らすと、緩慢な動きで立ち上がり、山田と正面から向き合う。
平均よりも低い山田の身長を優に越す山縣が、上から見下す様な視線を落とす。

「この前の礼をしようと思うてな」

「れい?」

礼をされる様な親切を働いた覚えもなければ、この前、と言う時期も不明瞭であった。
意味が分からない、と顔にあらわす山田に山縣は、嫌味ともとれる笑みを浮かべると、長身を折り曲げて山田の耳元へと唇を寄せ

「今日は酒の力は借りんぞ」

言うなり山田の細い躯を抱き寄せ、耳朶を唇で甘噛みした。
山田の躯がビクリと竦み上がる。

「な、何を考えちょる、山縣っ?!」

がっちりと抱きすくめられた躯は自由が利かず、山縣の腕の中で身動ぎする事しか出来ない。
山縣の唇が、明確な意図を持って耳元から首筋を辿る。
熱い吐息がかかり、むず痒さに身をよじらせた。

「山縣っ!止めんかっ!」

身動き出来ないならば、言葉で抵抗を示すしかない。
しかし山縣は、聴こえない振りで背中に回した手を山田の上着の中へと侵入させると、ズボンの中にきっちりと入れられたシャツをもたくしあげ、直にその肌に触れた。
俄かに震える山田の体温を確かめる様に背筋を遡ると、その動きに合わせて山田の背中が仰け反る。

「止めっ、こねぇな処で、何盛っちょるっ?!」

必死になって山縣の動きを制止しようと喚く声に、山縣は苦悶の様相を浮かべ

「少しは色気を出したらどうじゃ…?」

不満気に言葉を放ち、おもむろに山田の毒づく唇を塞いだ。

「ぅんっ、んんっ」

塞がれくぐもった呻きを漏らす山田の口内へと舌を入れ、逃げる山田の舌を追い掛ける様に自らの舌を絡める。
逃げる動きと追い掛ける動きが、殊更に舌を激しく絡ませる結果となっている事に、山田は気付かない。

「ぅっん…ん…」

抗議の呻きは次第に鼻から抜ける様な喘ぎへと変わり、二人の唾液で湿った音が鼓膜に響く。
口の端から溢れた雫が山田の顎を伝い、零れ落ちた。
腰から力が抜けていく感覚に、山田の手が、山縣の軍服の上着を縋る様に握り締める。
山縣は、山田の躯を執務机へと押しやり、腰を抱えて上に座らせた。
そうして漸く、唇を解放する。
湿った熱い吐息を漏らし、熱に浮かされた様に傲然とした表情の山田を見下ろし、山縣は山田の濡れた唇を細く長い指で拭う。

「口付けだけでこうも大人しくなるとは…かなりの好き者じゃの、山田」

喉の奥で低く笑い声を漏らす山縣に、カッと頬を紅潮させ山田は、目を剥いて山縣に喰ってかかった。

「どっちがじゃ?!こねぇな処で盛る奴に言われとぅ無い!」

山縣は、山田の噛み付かんばかりの剣幕にも鼻を鳴らして不適に笑い、山田の足の付け根に手を這わせる。
山田の腰が、ビクリと飛び跳ねた。

「どっちが…?」

色を含んだ粘着質な物言いで、山縣はズボンの上から山田の俄かに息づいた熱を弄る。

「んぁっ、ぅっ…ふ…ち、違っう」

合わさった吐息の余韻が残す、くすぶった熱を見透かされ、咄嗟に否定を口にする。

「何が違う?こねぇな処で盛っちょるのはどちらかの?」

熱を追い上げる山縣の掌の動きに、痺れる様な疼きが背筋を這い上がる。

「やっ、違っ…おまえが…あっ、は」

眉をひそめて唱える文句は艶を含み、甘い喘ぎと相俟って、大して効力を発揮しない。
山縣は、吐息が触れる程に顔を近付けると、また、唇を合わせた。

「あ…ぅん、ん…」

深く重ねられた唇は、痛い程に呼吸を求め絡まり、離れてまた、更に深く交わる。
口付けの合間に、山縣はズボンの釦を外し、山田の腰を抱え上げると、抵抗する隙すら与えずに一気に下着ごと引き抜く。
その拍子で靴までもが、コトリと物音をたてて床に落ちた。
山田の眉が、文句言いたげにピクリと寄せられる。

強制的に晒された下半身の熱が、外気に触れて震えた。
追い上げられ既に立ち上がった中心に、山縣の指が直接触れる。

「んぅ…んっ…っ」

刺激から逃れる様にくねらせる腰の動きが、妖しく山縣の欲望に火を注ぐ。

そそり立った先端に親指をあてがい擦れば、山田の背中が反り返り、下半身を山縣へと押し付ける格好となる。
掌で全体を包み込み、ゆるゆると擦り上げると、ビクビクと痙攣を起こした様に、山田の躯が跳ねた。

「んっん、ぅん…」

未だ解放されぬ唇に息苦しさを訴え、掴んだ手に力が入る。山縣の軍服に皺を寄せた。
擦られた箇所から透明な蜜が零れだし、山縣の手を汚す。
震える腰が、限界が近い事を告げている。

その時、不意に山縣の唇が離れたかと思うと、手の動きまでもが止まった。
今少しで達しようかという絶頂感を遮られ、山田が不服そうに顔を上げる。

すると、山田の顔をジッと見つめる山縣と目が合い、気恥ずかしさに目を逸らす。

「また、一人でお楽しみか?」

山縣の低い声が耳元で響き、火を噴く程に頬を赤らめ、横目で山縣を睨む。
覆い被さる様にしていた山縣の躯が離れていこうとするのを、山田は咄嗟に上着を掴んだ手に力を入れ、引き留めようと動いた。
山縣の意図が読めずに怪訝な表情を浮かべる。
いつもであれば、山田がいくら嫌だと訴えようが、結局は熱を追い上げ、強いる行為の途中である。
山縣は尚も山田に視線を向け、中途半端に高められ行き先を見失いそうな山田の躯を眺めた。
山田は、何か言いたげに山縣へと視線を投げかけ、身を捩らせる。
この様な状態で止められて困るのは山田の方だが、だからと言って、自分から続きをせがむ様な事が、山田に出来よう筈もない。

「何か言いたい事があるなら、はっきり言ったらどうじゃ?」

山縣の含んだ物言いが感に触ったが、山田には余裕がない。
山田は、睫を伏せて山縣の胸に額を擦り付け、躊躇いがちに口を開く。

「……や、止めるんか…?」

部屋に入って来た時の勢いは何処へやったのか…。蚊の鳴くような声で呟く山田に、山縣は感情の読み取れない声で答える。

「お前次第じゃの」

山田の躯が震える。
此処が何処だかは、理解している。
場所がどうの、と文句を言ったのも自分だ。
しかし、それでも、この限界までに猛った熱を開放しない事には、この部屋から出る事もままならない。
山田は、山縣の上着を震える指で握り直し、その上着に顔を埋めた。

「どねぇせぇ…言うんじゃ…」

くぐもった声に、山縣は山田が見えない事をも計算に入れてか、口元を笑みに形作る。

「ワシをその気にさせるんじゃな」

山田の喉が、コクリと唾液を飲み込む。
山縣の躯がゆっくりと離れ、山田の手がするりと解けた。
山縣は、元座っていた椅子へと不貞不貞しく腰掛けると、視線で山田を促す。
泣きそうな顔でその一連の動きを眺めていた山田は、のらりと机から身を離すと、前を隠すようにシャツの裾を握り、億劫そうに山縣へと近付く。
震える足で山縣の前に立ち、頼りない視線を山縣へと向ける。
山縣は、椅子の背もたれにずっしりと構え、冷たい視線で山田を見返す。
ゆっくりと、山田は山縣の足元へと跪き、山縣の膝にそっと手を伸ばし触れる。
そのまま掌を滑らせ、山縣の軍服のズボンの前をくつろがせようと、上手く力の入らない指先を動かす。

「早くせんと誰か来るかもしれんぞ?」

ぎくりと山田の肩が窄まる。

「うるさい!だったらズボンくらい自分で脱いだらどうじゃ?!」

負け惜しみにしか聴こえない山田の言葉にも、山縣は余裕で鼻を鳴らし

「それでは面白くない」

きっぱりと言ってのけた。
山田の眉間に皺が寄り、屈辱感に歪む。

どうにか解けたズボンから、半ばやけくそ気味に山縣の雄を取り出す。
ちらりと上目遣いに山縣を見ると、見下した視線が先を促していた。
見るんじゃなかった、と後悔が滲む。
山田は再び山縣の中心を見添えると、渋々中心に顔を近付けた。
唾液をこくりと嚥下し、先端に口付ける。
鈴口を吸い上げ、舌を差し込みゆっくりと口に含む。
山田の小さな口では、山縣の長さのあるそれは全て収まりきれず、半ばで喉の奥に当たり、俄かにむせた。
その拍子に俄かに歯が当たり、山縣が苦痛に呻く。

「下手くそ」

山縣の容赦ない言葉が頭上から降ってくる。

「仕方ないじゃろ…やったことないんじゃから…」

不貞腐れた口調で呟き、山縣自身を両手に包み込み、慎重に口内に含む。
両手を使うと同時に、唇を窄めて上下に動かす。
唾液に濡れ、クチュクチュと濡れた音が、静かな執務室に響く。
息苦しさに一旦唇を離し、舌で先端を押し込むように刺激すると、徐々に形を変え、硬度の増す山縣の猛りを直に感じる。
山縣の呼吸が次第に乱れてくるのが聞こえ、山田の熱を煽った。
唇と舌で啄むように、山縣の形に添って先端から根元を濡らす。
そしてまた、口に含み舌と唇で刺激すると、山縣の先端から溢れ出した蜜の、独特の苦味が口に広がる。
山田の両手もまた、山田自身の唾液でか、山縣の滴りでなのか、濡れて滑りを増した。

「っ…ん、んん…」

鼻から抜けるような喘ぎをもらしながら、山縣の熱を煽り、山田自身もまた、下半身の疼きが高まる。
どちらも限界を訴えているのに、山縣は山田に触れようともしない。
もどかしさに、無意識に腰をくねらせる山田に、山縣は足を伸ばし、山田のシャツの裾に軍靴の先を差し入れた。

「あっぅ、ん…はっ」

山縣の靴先が、山田の猛りに触れ、山田の躯がビクリと跳ね上がりうずくまる。

「このまま達けそうじゃの…」

低く含み笑いを漏らす山縣に、濡れた視線を向け

「やぁ…やまがた…っ、ぁん、や、やだっ」

大きな瞳から涙が溢れ出した。
それを見ても、山縣は顔色一つ変えずに靴先を山田の中心へと押し付け、揺らす。

「口が疎かになっちょる」

嬌声を上げ、身悶える山田に、山縣は尚も厳しく先を促し一瞥した。
下半身に与えられる刺激に打ち震え、力の入らない躯を無理矢理に動かし、山田は山縣の猛りを口に含む。
昂然とした表情で、ただくわえ込みしゃぶる山田に、山縣の支配欲が満たされていく。

「ん…ぅんん…、は、ぁ…」

山田の顎を伝う雫が、飲み込みきれずに口から溢れ出す自身の唾液なのか、山縣の蜜なのか、それとも瞼から零れ落ちる涙なのか、既に判別は難しい。

口の中を満たす山縣の熱が、殊更に脈動している。
山縣は自分の限界を察すると、山田の中心に押し当てていた足先に力を入れて擦り上げた。

「あっぁ、やっあっ」

途端に嬌声を上げる山田の口が、山縣自身から離れる事を許さず、山田の後頭部を押さえつけ、また口に含ませる。

「ぅんっ、んんっ」

くぐもった声が山田の喉から漏れたかと思うと、口の中を山縣の吐き出した蜜が広がった。

「っ…んぅ…く…ん」

山田の喉が数回嚥下したのを確認し、山縣は足先を捻った。

「んぁ、あっや、やぁっ」

痛い程の刺激に堪えきれず、山田の先端から白い粘液が溢れ散り、山縣の靴を汚す。
吐き出した熱の余韻に震え、ぐったりと身を山縣の足へともたれさせ、山田の細い肩が上下する。

「…丁度、時間じゃな」

山縣の言葉に気怠く頭を持ち上げると、時計へと視線を向ける山縣が目に入った。

「誰か来るかもしれん。続きはまたじゃの」

したり顔に山田を見下す視線をよこす山縣に、山田は眉間に皺を寄せ睨み上げる。
何か言いたかったが、顎が怠くてしゃべるのも億劫であった。

(覚えちょれよ…)

心中で呻く山田に気付いてか、山縣は鼻を鳴らして笑った。



【あーとーがーきー】
1000hitのアンケートで一位だったお二人に頑張って頂きましたぁー。
っていうかむしろ山田しか頑張ってないっていう…(゚-゚;)

山縣を鬼畜に!山縣を鬼畜に!と、呪文の様に唱えながら書いてみました。
鬼畜になってるんだろうか、コレは…(=_=;)

これだけの話にどんだけ時間掛かってんだってツッコミは無しでお願い致します(T-T)
言葉のボキャブラリーが少ないので、エチ書くの難しいのですーっ(>_<。)

精進しなければ…。←全くだ…

少しでも、お楽しみ下さいましたら幸いデス。
お読み下さって有難うございました!

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あきゅろす。
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