地平が織り成す夢物語
暗闇で揺れる影(冥王)*
*微裏注意
冷たい感触が、首筋を這う。
それは指なのか、果たして唇の間から覗く舌なのか。
生の温もりがない冥王の場合、同じ冷たさの為に判断できない。
唯判るのは、その愛撫によって快楽を与えられているということ。
「……っ…ぁ…」
「…感ジテイルノカ…?…名前…」
耳元で囁かれて、ぞくりと鳥肌が立つ。
後ろから抱きしめられたままの状態で快楽に体を揺らせば、くすりと笑う冥王の声。
「…タナト、ス…っん」
「随分ト、淫ラナモノダナ……人間ト云ウノハソウイウモノナノカ?…ソレトモ…名前ガ唯単ニ淫乱デアルノカ?」
ほくそ笑みながら長い指を身体へ這わせる。
その度に口からは甘美な喘ぎ声が漏れて、いつもは寒いはずの冥府でさえもが熱いオーラを纏っているようだ。
「…名前、オ前ハθを愛シテイルカ?」
「…は、い…愛し…て、います…」
「…ナラバ其証拠ニ、オ前ノ甘イ声ヲθニ聞カセテクレ…」
その指が内股に触れ、黒いドレスの裾を持ち上げていく。
あらわにされていく自らの脚と、それをなぜるタナトスの指を直視できずに視線は宙を泳ぐ。
けれど直ぐに感じる秘部への刺激。
それが快楽に変換されて再び甘い声が口をつく。
「…ぁ、…あぁっ、!」
「…良イ声ダゾ、名前。トテモ厭ラシク、トテモ艶メカシイ……流石ハθノ姫君ダ…」
暗闇で揺れる影は、
一つに重なり夢を見る。
09*12*05
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