[携帯モード] [URL送信]

地平が織り成す夢物語
死せる跡(紫狼)


「…エレ、フ……」


生温い風が、頬を凪ぐ。

痛みを覚える箇所に触れてみると、そこから紅い血と一緒に命が流れ出しているのが分かった。

世界が暗みを帯びて歪んで往く。


「……エレフ…っ…」


口から零れるのは愛しい人の名前だけ。

今は何処に居るんだろう、何処で戦って居るんだろう…

段々と薄れていく意識の中で、エレフの顔を思い浮かべる。

私の腹部を貫いたのは、アルカディア軍のものだった。
つまりは敵であり、エレフの妹・ミーシャの仇。

仇を討とうと誓いながら、その刃に倒れるなんて情けない。


…こんな私を、貴方は許してくれるでしょうか…?

…エレフ…







…嗚呼、運命は残酷だ。

それでも、運命に抗わぬ者達に光は差さない。


運命(Moira)が戦わぬ者に微笑む事など決して無いのだから…











……漆黒。
















09*06*30



3/40ページ


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!