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【SS・拍手お礼SS】
<佐助×幸村>眠る主人の傍らで (BASARA3設定)【拍手お礼2】

それは「彼」が若き総大将となったばかりの頃の夜であった。



「今日も疲っれたー・・・。・・・はぁ。あの人、あれこれ悩みすぎてまた寝付けてないんじゃ・・・。」

俺は大将の様子を見に部屋に忍び込んだ。

今は丑三つ時。


・・・なんだ・・・。すっかり寝入ってる。俺様も早く寝よ・・・・・・


・・・?


「う・・・・・・あ・・・あ・・・」



うなされている・・・。夢の中でも苦しんでいるのだろうか。

そっと主の眉間に触れ、しわを伸ばした。


「・・・最近笑わなくなったね。・・・って、それは俺様もだけど。」


「お館・・・様・・・・・・・・・。」


一粒の涙が頬をつたい零れ落ちた。


「そうやって、いつまでもお館様にすがっているとまた采配を間違えるぜ?」

昼間、彼に告げた突き刺す様な言葉を再度吐き捨てる。

今日の戦の悲惨さ。軍を率いて甲斐に逃げ帰るので精一杯だった。


「・・・申し訳ございませぬ・・・申し訳ございませぬ・・・・・・。」


ひとつ、またひとつと閉じた瞳から涙が溢れ出ていた。


「・・・解っているさ・・・。一番辛いのはあんただ。ただ、“その”日が来るのが早すぎたんだ・・・。」


髪に触れ、睫毛に、頬に触れ、涙をそっと拭った。

本当は、目の前のその人を抱きとめてあげたかった。



独りで背負い込まないで


迫りくる敵から

不安や苦しみから傷付く貴方をこの手で守ってあげたかった。


だけど

それはもう出来ないってわかってる。


貴方を想うなら

貴方を想うから、


俺は貴方を突き放すことしか出来ない。


たとえそれが、貴方を更に悲しませることになろうとも。



一番大切な人の為


俺はいつだって最善の道を選ぶ。



「・・・“旦那”。」

その時つい、昔の呼び方で彼を呼んでいた。


「この先何があっても、俺は決して貴方の傍を離れない。決して貴方を見放さない。

だから守ってよ・・・。」

主の、耳元に唇を近づけた。闇の中のこの人に、どうか光となって届くように・・・・・・。


守って・・・・・・


“今”を


「貴方と共にいるこの瞬間を・・・。」


絶え間なく流れ落ちる愛しい人の涙に唇を落とした。


いつの間にか、夜明けが近づいていた。


「ん・・・・・・佐助・・・・・・?」

とろんとした目を擦りながら甘い声で名前を呼ばれる。

まるで緊張感の欠片も無く。


ああ、懐かしいな、この感じ。

まるであの頃に戻ったかの様。


だけどもう、あの頃とは違う。


「おはよう、“大将”。」



手を差し伸べれば、その人は少し笑って俺の手を握った。



<終わり>

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