【SS・拍手お礼SS】
<佐助×幸村>そんな旦那が大好きだ 【拍手お礼1】
「幸村、何か良い事でもあるのか。」
「おわかりになるのでございますか、お館様。
今日は、佐助が某の所へ来てから丁度十年なのでございます!」
「そうであったか!」
「それで、某今宵は佐助の為に祝いの支度をして・・・」
「しもうた。」
「?」
「そうとは知らず、佐助に北条の視察を命じてしもうた。今日は佐助は戻らぬじゃろう・・・。すまなかったのう、幸村。」
「左様・・・でございましたか・・・。いえ、お館様の命とあらば仕方がございませぬ・・・。」
「・・・幸村・・・。」
佐助は・・・おらぬのか・・・。
皆に協力してもらって、佐助の為に握り飯を作ってみた。
朝まで一緒に飲み明かそうと、お気に入りの酒を用意した。
おらぬのか・・・。
「なら、俺から会いにゆけばよいのではないか!」
俺は、握り飯と酒を背負って相模の国へと旅立った。
「佐助ー。佐助ー!」
「な・・・旦那!?」
どこからともなく現れた佐助は俺の口を塞いだ。
「・・・旦那、何しに来たのかは知らないけど、俺様今仕事中なの。早くここから立ち去ってくださいよ。」
「どうしても今日佐助に会いたかったのだ。」
「会いに来てくれたのは嬉しいけど、旦那がいると仕事の邪魔になるから駄目。」
「邪魔・・・なのか?」
「また忍の真似でもしに来たんすか?旦那は旦那の役割があるんだから俺様みたいな事はしなくていいの。」
「違・・・う。だが・・・、いや、・・・そうか、迷惑をかけてすまなかった。
・・・握り飯・・・作ってきたのだ。腹を空かせておるのではと思い・・・。ここに置いておくからよかったら食べてくれ・・・。」
俺は、握り飯の入った包みを置いてその場を離れた。
こんなはずではなかったのだ・・・。
今頃は二人で酒を飲み交わして、それから、それから・・・。
もっと楽しいひとときを過ごす筈であったのに。
佐助は、もう忘れてしまったのであろうか・・・。
「・・・旦那。どうしたらこんな、芸術的な形に握れるんだよ・・・。」
噛み締める程に広がる情景。
自分の事を想いながら、きっと一生懸命に握ってくれたんだろうと。
「・・・しょっぱいよ・・・。」
佐助に、呼ばれた気がして振り向いた。
「気のせいか・・・?」
「旦――那―――!!」
佐助だ・・・・・・!
「・・・佐助!!お前、仕事はどうしたのだ!?」
「ちゃっちゃと片付けてきましたよ?だーって、今日は・・・大事な日でしょ。」
「佐助・・・憶えておったのか?」
「忘れる訳ないじゃない。旦那、ありがとう・・・握り飯。」
「・・・本当は、他にもあったのだぞ?」
「何?聞かせて?」
「俺の部屋で一緒に酒を飲んでだなー。」
「うん。」
「思い出話とかもたくさんしてだなー。」
「うん。」
「そうだ、眠くなったら昔のように並んで一緒に寝よう。」
「もう狭いっすよ?」
「構わぬ!」
日は沈みかけ、空は紅く染まり・・・
俺と佐助、二つ並んだ影が遠くへと伸びていた。
「ありがとう、佐助。俺の傍にいてくれて・・・。」
「俺様も。旦那に仕える事ができて幸せだと思ってる。」
「本当か?」
「暑苦しくて暴走しがちでお馬鹿さんで握り飯作るの下手だけど。」
「な・・・、な・・・っ。」
佐助は、俺の唇をひとさし指で押さえた。
「・・・そんな旦那が大好きだって事だよ。」
<終わり>
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