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「紅蓮桜花」
猿飛佐助の宣告。

近頃の旦那、少し変わった。

 「お館さむぁああ!!」
 「幸村ぁあああ!!」

・・・あ、いや、そこは変わってないんだけど。


暇さえ出来れば、すぐ城下の方へ行っちゃうし、
寝る前に鉢巻ずっと眺めてるし、
ああ、あちこちの団子屋に行かなくなったよね。

なぁ旦那、本当に気付いてないの・・・・・・?



「・・・旦那、明かりも点けないでどうしたの。」

任務から戻ると、既に戻っているはずの主人の部屋が真っ暗になっていた。最初はもう寝ているのかと思ったんだけど・・・。
「旦那ー、お土産ー。」と声を掛けると寝てても飛び起きてくるくせに、・・・反応が無かった。

「おお・・・もう夜になっておったか・・・。」
「・・・旦那?何時からそうしてたの?」
暗い中、部屋の片隅で縮こまる人影を見た時は正直怖かった。

旦那、魂抜けてますよー。

「桃ちゃんとまた何かあった?」
なんて冷やかしても無駄だろうけど。

「桃殿・・・結婚するのだそうだ。」

え!?

「旦那、何でそれ知ってんの!?」
「佐助・・・お前、知っておったのか。」
「ふうん・・・。それで元気無いって訳だ。」
「そのような事は無い!よ、良い知らせを聞いたのだ。桃殿が婿を取れば、桜花庵は安泰なのだ。」

旦那、本当に、気付いてなくてそれ言ってんの・・・・・・?

「・・・旦那はさぁ、何で毎日のようにあの団子屋に行くの?」
「桜花庵の事か?あそこのおはぎは絶品だとは思わぬか?うう、いかん。思い出したら腹が減ってきた。」

「・・・何で、その鉢巻だけいつも持ってんの?」
「これか?そうだなあ。これを身に着けていると不思議と心が引き締まる気がするのだ。新しい物は良いな。」


あーはいはい。もうちょっと直球でいきますか。


「旦那、桃ちゃんの事どう思ってんの?」

「桃殿・・・・・・?良きおなごでござるな。」

・・・来た来た!

「あの歳で店を切り盛りし、客からの人望も厚い。」 

そうじゃなくて・・・あーもういいよ。
馬鹿馬鹿しくなってきた。

「ほんと良かったよねー。桃ちゃん、あの颯太って奴と幸せになれればいいよねー。」

「・・・ああ・・・・・・。」



なあ旦那、早く気付いてよ。
取り返しのつかない事になる前に。


旦那の心、傷ついているんだよ。



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