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「紅蓮桜花」
秘密の旅路・7 夜明け

明くる朝―――



(ん・・・・・・温かい・・・。)

それは、昔感じた温もりに似ていた。
(ん・・・・・・?)

目を開けると、一寸先に眠る桃殿がいるではないか。

(・・・・・・・・・・・・!!!??)

何故か、夜着の中で向かい合って眠っていたのだ。

(何があった・・・!!思い出せ、思い出すのだ!)
だが不思議な事に記憶は蘇ってはこない。

彼女の寝息が、頬をかすめる。

(と、とりあえず、ここから抜け出さなくては!)

「・・・ん・・・。」
「す、すまぬ。起こしてしまったのか・・・。」

しかし桃殿はむにゃむにゃと微笑むとまた寝息をたて始めた。
「ふう・・・。む・・・?」

桃殿は、俺の袖をしっかりと握っていた。

(離・・・れぬっ。)

「ゆきむらさまぁ・・・・・・。」

「お・・・おはよう、桃殿。」

しかし、彼女からの返事は無く。

「寝言でござったのか。む・・・・・・もしかすると・・・・・・俺の夢、を?」
なんだか顔が熱くなってきた。

何故なら
隣で眠る桃殿がとても・・・

・・・とても、何なのだろう?


彼女は友人

友人、でよいのだよな・・・・・・・・・?


何故俺は自分に問いただしているのだろうか。


ただ今は、もうすこしだけ。

もうすこしだけこのままでいたい気がして、俺は再び夜着の中へと潜った。



そなたをもっと見つめていたくて。



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