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「紅蓮桜花」
秘密の旅路・2 道中

 ――私を、上田へ・・・・・・?

 「・・・すまぬ。迷惑でござったか?」


 いいえ

 いいえ幸村さま。


 “望んでは、だめなのに。”



 お願い・・・・・・

 「私を、連れて行ってください。」


 どうか、一緒にいさせて・・・・・・




突然泣き出したりして、幸村さまを困らせてしまった。
きっと上田へも私の気分転換のために、連れ出してくださったに違いない。
ああ、更に気を遣わせてしまったなんて。

馬に揺られながら、幸村さまと私は信州・上田を目指していた。

「旦那ー、お供、俺様一人で本当によかったの?」
木々の間から声が追ってくる。
「この方が気楽でよいのだ。」
訂正。佐助さんを連れた三人は上田を目指して進んでいた。が、


ぐーきゅるるるるるるるるー


「・・・・・・・・・・・・・・・すまぬ。」


突如鳴った幸村さまのお腹の虫により、途中で休憩を挟む事となった。

「そういえば、桜花庵で団子を食すのを忘れておった・・・。」
「ふふ、そう言うと思っていました。」
風呂敷包みの中に、お店からこっそり持ってきたお団子を入れておいた。
「おおっさすが桃殿!」
喜んでもらえると私も嬉しくなる。

「・・・やっと笑ってもらえた。」

「え・・・?」

「良かったでござる・・・。桃殿は、やはり笑顔の方が良い。」

「そ、そそそうですか・・・・・・っ。」

何だかとても恥ずかしくなって、慌てて別の話題を探す。
「えと・・・あのそう、馬!って大人しいんですね。」
「おお、この馬は朱羅という名でな、人懐っこいし、すごく賢くもあるのでござるよ。」
「朱羅。」
名前を呼ぶと傍に来てくれた。本当だわ。可愛いな。
「桃殿は気に入られたようでござるな。」


初夏の日差しの中、私達は再び進んだ。



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あきゅろす。
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