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「紅蓮桜花」
幸村の明るい計画・2

「幸村よ、最近修行を怠っているようじゃな。」
「そ、そのような事は・・・。」
「出かけている事が多いようじゃが。」
「・・・・・・。」

「ふぬっ!!」
「ぐあぁっ!」
「大馬鹿者がぁ!精進を怠るは愚の極み!存分に反省するがよい!よって、今日より七日間外出禁止とする!!」
「!!」

その日、とうとうお館様のお叱りを受けてしまった。
それも当然である。佐助からも注意を受けていたというのに。
「は・・・。まことに申し訳ございませぬ・・・。」


「・・・佐助。」
「は。」
「幸村が理由もなくさぼるような真似をせん事くらいワシにも解っておる。奴に何があった。」
「・・・はぁ、そうっすね・・・。・・・春が来たってとこですか。」
「今は夏じゃろうて。」
「は、はは・・・。」

「外出禁止・・・。」
せっかく桃殿を友人だと思うと決めたのに。
「七日も会えぬのか・・・。」

―――淋しい。

それに
ずっと引っかかっている事がある。
颯太殿の申された“宣戦布告”。
俺に?

颯太殿は、俺に敵意があるという事らしい。
俺は何か気に障る事をしてしまったのか・・・

 “・・・もう、颯太ったら。”
 
 “また?もう、しょうがないわね。”

 “いいじゃん。桃の父ちゃんおれの事、婿にしたい位気に入ってるんだし。”

 “桃。後で話がある。”

「・・・何であろう、何故今思い出すのだ・・・?」

「どうしたの、旦那。」
「佐助ぇ、外に出たい・・・。」
「駄目でしょ。大将の言いつけ破れる訳無いでしょ。」
「わかっておる!だが、気になるのだ。」
「おっ、桃ちゃんが!?」
「颯太殿が・・・。」
「え、男!?」

颯太殿は、きっと今も、俺が行けぬ七日間も、桃殿と一緒におるのかもしれぬ。
いやそもそも、これまでずっと桃殿と一緒だったのだな・・・。

颯太殿は、俺より桃殿と仲が良い・・・。

それが少し羨ましくて、あと・・・・・・

「そうか、友人をとられて嫉妬など、小さいな、俺は。
だが、もしかしたら颯太殿も同じように思っていただけかもしれぬ。」
「今、何て言った?」
「友人をとられて嫉妬など・・・」
「誰に?その颯太って奴に!?」
「やはり、恥ずべき事だと思うか。・・・どうしたのだ、佐助。」
「旦那、何ぼやぼやしてんのさ!ってああ、謹慎してんだっけ。」
「な、何なのだ?」
「よかったら俺様、偵察に行ってこようか?」
「べ、別に偵察などする必要は・・・。」
「じゃあ、行かないけど・・・。」
「いや・・・・・・頼む、よ、様子だけ、見てきてほしい。」
「御意!」

・・・む?
「・・・嫉妬・・・しておったのか、俺は。」


羨ましくて・・・・・・苦しくなる。

これが・・・嫉妬?

初めての、感情。


・・・今は、
今は何も考えるな。目の前の事に集中するのだ。
「うおおおおおおお!!幸村、修行に専念致しますぞおぉぉぉぉ!!」



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