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「紅蓮桜花」
幸村の明るい計画・1

おなごには・・・あ、あまり関わった事が無い故、どう接してよいものか解からぬ。
き、嫌いとかではなくてだな、某だって話せるくらいにはなりたいと思っておる。

―――――ああああああああ逢引っ!?
破廉恥極まりない!!!!




「上田?」
「そこが某の故郷でござる。」
「どのような所なのですか?」
「季節は過ぎてしまったが、春は躑躅(ツツジ)の花が満開で、それは綺麗でござるよ。」
「わぁ、そのような景色、私もいつか見てみたいです。」

今までおなごと碌に会話もした事が無かったというのに、
今は普通に桃殿と話せている。

む・・・?では俺は、もしかしたら桃殿をおなごとして見ていないのではないか・・・?

そ、そのような事はござらん!・・・と思うのだが。

「幸村さま、どうかなさいました?」
覗き込んだ桃殿と、目が合った。
「うあああああ!!」
仰天して尻餅をついてしまった。
(ち、近かった・・・!)
「ゆ、幸村さま?」
「なななな何でもないでござるぅ!」 
 
前言撤回。やはり・・・苦手だ。
少しは普通に接する事が出来ると思っていたのだが、どうやら慢心しておったようだ。
しかしいつまでもこのままでは、いつか桃殿に不快に思われてしまうのでは・・・。
・・・・・・・・・。
何か良い策は無いであろうか・・・。

そうだ、仮におなごだと意識していなかったから話せたのであったら、
これからもおなごと思わなければ良いのではないか。気の知れた友人とでも思えば、
或いは普通に接する事が出来るのではないか。

 桃殿は、俺の友人なのだ。

・・・少し気が楽になったような気がしてきた。


・・・友達。
なんだか良い心地だ。明日からはもっと自然に振る舞えるような気がしてきた。
会うのが楽しみだ・・・。

床に就き、次第に睡魔が襲う中でぼんやりと友人の顔を思い浮かべる。

しかし・・・。あのように大きな眼は近くで見た事が無かった・・・。
す、吸い寄せられるようであった・・・。
それに何やら甘い良い香りが・・・・・・。

・・・って、 
「・・・は!いかんいかん!」
桃殿は、友人・・・桃殿は、友人・・・。

「精進あるのみ!・・・奮えよ!真田源二郎幸村ぁ!!」

真夜中に己の声だけが響き渡っていた。



次の日、佐助に友達大計画!を語ったところ、
「それ桃ちゃん本人には言わないほうがいいよ〜」とさらっと言われた。

成程
不言実行、というやつだな。


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