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撫子の嫁
撫子の嫁 後編
「――お市様でござりまするか?ええ、いらしておりますよ。」
「ほ、本当か!!」





「・・・・・・市、何を、しているのだ?」
「長政さま・・・・・・!!どうして・・・・・・」


そこには、何故か薙刀を抱えこんで料理に励む市の姿が。


「市、まつ様に教えてもらっていたの。」
「そ、それは料理か?それとも戦術のほうか・・・?」
「・・・両方・・・・・・。」
「とりあえずは、どちらかひとつになさいませと申し上げたのですが・・・。」

「それでは、間に合わないの・・・・・・。」
「何に、だ?」
「・・・・・・一年。」
「いちねん?」



一年。・・・・・・・・・あ。




「・・・そうか。今日で、結婚してから丁度一年であったな。」
「まあ、それはめでたき事!」
「ごめんなさい・・・。市、もっと早く思い出せていれば・・・。」
「手紙の、ごめんなさいはそうゆう事か。」
「ごめんなさい・・・。ほんとうはお祝いに、強くなったところ見て貰って、夜にはご馳走作って、それから・・・」

「もう、よい。あまり心配をかけるな、市。」

長政は、最愛の妻を抱きしめる。


「・・・今日は腕を振るわねばなりませんね。」



結局、前田家でまつの料理をたらふくご馳走になり、浅井ご一行は帰還した。





「・・・もう夕暮れか・・・。」

「・・・今日は、まつ様にたくさん教えてもらったの。」
「それは良かったな。後日何かお礼の品を送らねば・・・」
「料理と、戦術と、それから・・・・・・。」
「何だ、まだあるのか?」



「・・・・・・・・・・・・子作りの、秘訣・・・・・・・・・・・・・・・。」





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!」


「お、こりゃあ楽しみですなあ。」
「殿は幸せ者でございますなー。」
「夕食はなにか精のつくものを召し上がったほうがいいですぞ。」
「風呂の用意は某が。」
「殿、がんばれー!」







「・・・・・・ッ!!全員、解雇!!」

「!!!!!」





<終わり>



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あきゅろす。
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