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撫子の嫁
撫子の嫁 前編


『長政さまごめんなさい・・・・・・・・・
 捜さないでください・・・・・・・・・・・・・・・ 市 』





「・・・何だ、これは。」
「置手紙ではないかと・・・」
「そんな事はわかっている!!どうして市はいなくなったと聞いている!!」
「・・・はあ。」
色違いの鎧を身にまとった五人の若者は口々に答える。
「それはやはり、殿の態度に問題が・・・」
「日頃冷たく当たり過ぎたのではないかと、」
「甘い言葉のひとつでも囁いていればよかったのでは、と。」
「女は言葉にせねばわからぬ、と言いますからな。」

「うううううるさい!
黙って姿を消す、これ即ち悪とみなす!!早急に市を捜し出さねば!!」
「・・・素直に心配って言えばいいのに。」
「・・・聞こえたぞ。減給ッ!!」
「!!!!!」



(市・・・何故、いなくなったのだ。私が何を言おうと、それはいつもの事ではないか。
今更・・・・・・)
先程の五人の部下を引き連れ、馬を走らせる。

(それともずっと、我慢をしていた・・・・・・?)



―――――

 「市、何故いつもいつも料理が焦げているのだ。食物を無駄にするのは悪だ。」
 「ごめんなさい、長政さま・・・。でも市、長政さまに喜んで欲しくて・・・。」
 「市・・・・・・。」
 「長政さまにおいしいって言ってもらえるまでがんばるから・・・・・・。」
 「べ、別に不味いと言っている訳では無い。
  そ、その・・・貴様にしては今日のは・・・・・・美味しいほうなのではないかっ・・・」
 「ほんとう?市、うれしい・・・・・・。ありがとう、長政さま・・・・・・。」

 その時の市の微笑んだ顔が、とても愛らしくて・・・・・・・・・



―――――

「って違―――う!!」

「わあ、驚かさないでくださいよ、殿〜。」
「何だ今の全く関係の無い話は・・・!!こんなのろけ話をしたいのでは無くて・・・・・・思い出したいのは市がいなくなった理由だ!」


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