西国向上委員会 西国向上委員会 〜愛護〜 「島津の連絡が途絶えた・・・。」 ここは安芸の国某城。今、会議始まって以来の危機が長曾我部・毛利に迫っていた。 「では、会議を始めるとしよう。」 「待て。始まって以来の危機じゃねえのかよ。」 「今の我には島津の行方より己の未来の方が大事よ。」 「正直だがひでえ!!」 「時に長曾我部。貴様は“おとめん”という言葉を知っておるか?」 「音麺?」 「おとめん・・・ それは乙女心をくすぐる男子・・・。可愛い一面を持った素敵男子・・・。そう、我に必要なのは冷酷な面の下に見え隠れする無邪気な我の素顔・・・これよ。 しかし、いきなり個人の気質を変えるのはいささか無謀である。そこでだ。簡単に可愛い面を見せる法を我なりに研究してみた。」 「ほお。」 「それは、動物と戯れてみる事である!!!!」 「モトチカー、モトチカー!」 「!!!???」 「おお、戻ったかオウム(仮)っ!」 「な・・・何だそれは。」 「ああ、紹介してなかったよな。俺が世話してやっている、相棒のオウム(仮)だ。」 「ヨロシクナー、オクラ」 「裏切り者ぉおおおお!!」 「ど、どうした毛利。」 「我に・・・内緒で・・・っひとりでおとめん計画を・・・っ。」 「いや、そんなつもりじゃ・・・。」 「貴様だけは、我の想いを理解できると思っておったのに・・・!!」 「わー悪かったって。目と鼻から汁出すなよ。」 「ぶびっ。解ればよい。」 「あんたもなんか動物飼うつもりだったんだろ?一緒に捜してやるから、何がいいか言ってみろ。」 「我に従順で、いつ如何なる時でも我に付き従い我の命令を絶対とし我に忠誠を誓う生き物だ。」 「俺今、飼う動物の話してんだよな?部下の話じゃないよな?」 「それならば犬などが宜しいかと。」 「だ、誰だ!?」 「島津か!?」 「まつにござります。よしなに。」 「何故前田が・・・?」 「長くなりますので簡潔にお話いたしますると、夕食の材料を捜して全国縦断、北の民から米を分けていただき越後の軍神殿から松茸を頂戴し奥州の片倉殿から伊達印のお野菜をおすそ分けして頂きそして瀬戸内にてカジキマグロを捜している途中犬千代様と運命の悪戯により引き離されていまいまして目撃情報を得ようと近隣の者を訪ね歩き、現在ここに至る訳でござりまする。」 「どこが簡潔だ、どこが。」 「話を元に戻しまする。聞きましたところ、毛利殿には犬がお似合いかと思い進言させていただきました。」 「犬、か・・・。悪くない。」 「毛利殿はこれまで動物と触れ合ったことはおありでございまするか?」 「・・・甲斐の虎と若い方の虎と越後の龍と独眼の竜と猿の忍と豊臣の大きい猿と前田の連れの小猿と貴様の夫となら関わった事がある。」 「それは違えだろ毛利。」 「まあ、随分とたくさんの動物達と仲良くおなりで。」 「突っ込まねえのかよ。旦那動物扱いされてるぞ。」 「では、飼った事はおありで?」 「・・・・・・・・・無くも無くも無い。」 「恥じる事はござりませぬ。何事も経験ですよ毛利殿。・・・良い事を思いつきました。私が犬千代様を見つけ出すまでこの四郎丸を数日預けまする。その間に存分に慣れてくださいませ。」 「しろう、まる・・・?」 くーん。 「犬、か。」 「狼でございまする。では。」 くーん。 「・・・おい毛利、世話押し付けられたぞ。」 「・・・・・・・・・。」 数日後―――― 「やれやれ、毛利の事だからどうせまた飽きちまってるんじゃねえか?ちょっと様子を覗いてみるか。」 「ははは、やめよ、くすぐったい。」 「!!!???」 「四郎丸は甘えん坊であるな。こら、少し落ち着くがよい、ははは・・・!」 「・・・どうした!?」 「長曾我部か、よい所に来た。そろそろ次の会議を開こうと・・・あーよしよし。」 「・・・毛利。数日の間に何があったかは知らんが当初の目的を達成出来ているんじゃねえか?」 「当初の目的・・・・・・はっ!我は・・・今、無邪気な笑顔をさらけ出していた・・・。それも、自然に・・・。」 「そうだ、あんたは変われたんだ。」 「我―――が。」 「ああ。だから、もう会議を開く必要は無えんだ。・・・もう、会議を開く必要は無えんだ!!(強調)」 「そうか、新しい我の魅力で・・・次作からは我だけが日輪の申し子として君臨するのである・・・!!ああ・・・何と素晴らしい・・・。 長曾我部よ、我の目的は達成されたようだ。貴様の言う通り、この会議は終―――」 その時であった。 「毛利どん、長曾我部どん、待たせもした!」 「な・・・・・・・・・?し、島津・・・・・・!?」 「会議、始めんとね。オイ楽しみにしとったばい。」 会議終焉と同時にまさかの島津到着!!どうする長曾我部!! 次回、怒涛の最終回!! [*前へ] [戻る] |