夢小説の館
序章
毎夜、彼女は海の上のそのひとを見ていた。
決して、出会うはずの無いそのひとを。
だけど、ずっと憧れていた―――――
そのひとは、彼の仲間から親しみを込めてこう呼ばれている。
――――アニキ
と。
ああ
わたしに、あなたとおなじ“足”があったなら
ある夜、そのひとは海の上から降りてきた。
目を、閉じたままで―――
少女はそっと彼を受け止めた。
彼は、「ここ」では息が出来ないのを知っている。何故なら、自分とは“違う”存在なのだから・・・。
――わたしが、あなたをまもるから・・・・・・
目指すは、海の上・・・彼の、世界。
一粒の涙が、闇に染まる海に溶けていった。
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