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024. スケッチ




「神田〜、神田ぁ〜どこですか〜?」

教団近くの森の中を白髪の少年が先程から声を上げてさ迷っていた。

ガサガサといくつかの木々を掻き分けると視界に一瞬だが黒が映る。

「あ!神田っ!」

見つけた嬉しさに声を上げれば神田は、しまったという表情でアレンとは逆方向に逃げ出した。

「あっ?!ちょ神田!!何逃げてるんですか?待ってください」

慌てて後を追い掛けるが神田もペースを落とすつもりはないらしく二人の距離は縮まらない。

「〜〜〜ッッ!もうっ!」

アレンは苛立ち、足に力を込めると神田との距離を一気に詰めるため全力で神田の背中へと向かって走った。

ドンッと鈍い音と共に、ぐふっと神田が呻く。

いきなりの衝撃に倒れる事はなんとか踏み止まったがダメージはそれなりにあったようで、こめかみを引き攣らせながら自分の背へと捕まっているアレンを、ギラッと睨み付けた。

「テメ、ふざけんなよモヤシ!!」
「待ってって言ってるのに逃げる神田が悪いんです!」

神田の怒声に怯む事なく、むぅ、と言い返す。

「………ッッチッ」
「…皆が待ってますよ?行きましょうよ」
「絶対嫌だ」

苦々しく言い放つ神田にアレンはそんなに嫌かなぁ?と首を傾げる。




『みんながいるこの時間を絵に残そう』

辛いこともあったが今生き残った皆の幸せを形に…

神田の師であるティエドールが、良いことを思い付いたとばかりに前置きなく発言し、コムイやリナリー、リーバー、ジョニー…面々がそれはいい、と賛同しみんなで記念撮影ならぬ記念スケッチをとることとなったのだが…。

いざ、描く時に神田は姿を消し、ラビ達は消えた神田にやっぱなー、という反応だったが、連れてくるので待ってて下さい!と『みんなで』という使命感に燃えたアレンが探しに来たのだ。

アレンに捕まり観念したのか逃げるそぶりはなく神田はアレンに向き直る。

「なんでそんなに嫌なんですか?」
「…仲良しごっこにわざわざ付き合う義理はねぇ」
「ッッ!ごっこなんて!」

言い返そうと顔を上げれば皮肉気に歪められた唇が目に入る。

「違うのか?」

その口調の冷たさにぐっと喉がつまる。

「……神田にとってはどうでもいいんでしょうけど、今この瞬間は"今"だけなんです。僕は皆でいられる時間を大切にしたいです…。それに形になるものなんて今までなかったから…だから…残したいんです」

俯きながら、だがはっきりとアレンは言った。神田はその様子を見て小さくため息を一つ。

「…別に俺がいなくてもいいだろうが」

めんどくさそうにいうと、アレンがバッと苦しそうに眉を寄せた顔をあげた。

「そんなことないです!僕は神田と一緒が良いんです!!…神田がいないと嫌です!」

一気に叫び、ぎゅうぅっと神田に抱き着いた。

「ちょ、おいモヤシっ…」

慌てたように神田はアレンを剥がそうとするがぎゅうぎゅうと締め付けてくる力は弱まることはない。

「一緒に行くって言うまで離しません!」

神田の胸へと顔を押し付けながら叫ぶと、神田から抵抗する力が抜けた。
?と窺うと抱き着いているアレンの髪を神田が撫でながら苦笑した。

「……仕方ねぇから、行ってやる」

神田の言葉を聞いた途端アレンは、パァァと顔を綻ばせ、じゃあ行きましょう!と神田がもう逃げないようにと右手で神田の左手をしっかり掴み教団へと向かった。




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アレンには何だかんだと言いつつ甘い神田だと良いと思います←
オマケ(?)→



あきゅろす。
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