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小説
花火と黒(ミスヴィク):夏フリー
星のが瞬くだけの夜空に広がる色とりどりの花火。
上がる度に隣にいるヴィクの真っ白な毛並みが花火の色に染まり、とても美しい。
「綺麗ね。ミスト。」
彼女に見とれていると、急に話しかけれ、慌てる。
「あぁ!と、とても綺麗だね!」
―本当は君のことを言いたかったけど。

もどかしい思いを胸にしまいこんでいる内に、アナウンスが鳴って休憩時間になった。
花火が止むと、空には星のみが輝いていた。
花火の壮麗さに隠れていた星たちはやっと出番が回ってきたとばかりに輝く。 その存在に気付かされ、ぼんやりと夜空を見上げた。
「あら、星空も綺麗。」
「花火で気付かなかったよ。」
そんなやり取りをしていると、急にヴィクが体をすりよせてきた。
「!?」
心臓が大きな音を鳴らす。
「ミスト、私ね…。」
頭の中が混乱しきっている僕は頷いて、彼女の次の言葉を待つことしかできない。
彼女は僕の腕を撫でた。
「黒が好きなの。」
「え…?」
唐突な彼女の言葉に僕は呆然とするばかりだった。
当の本人はそんなことは気にせず、話しを続ける。
「黒って、光を引き立ててくれるでしょう?花火も星も空が黒い夜だから綺麗なのよ。」
 ヴィクは僕の顔を見る。
「だからね、貴方の毛の色、好きよ。貴方の色は光をより輝かせるから…。」
ヴィクが微笑む。
再び心臓が高鳴る。
こんな風に毛の色を誉められたのは初めてだ。

やがて再開のアナウンスが鳴り、花火が再び空に上がった。
―光をより輝かせるから。

さっきの言葉が耳から離れない。

闇と同じ色で良かった。
そう思えたのは、これが初めてだった。


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