小説
カルタ取りをしましょう。
「はい!」
俺の読み上げと同時に起こる叫びと、畳の上に置かれた札を叩く音。
音が止むとすぐにタガーが絵札を持って誇らしげな様子で定位置に戻る。
俺が読み上げ用の札を次の物にすると、遠慮がちに障子がノックされる。
俺が「おいで。」と言うと、兎の絵が描かれている桃色の着物を纏ったバブが障子を開けて入って来た。
「お兄ちゃん、カルタ取りをしてるの?」
「ああ。俺が読み手だ。」
じゃ、バブ静かにしてるねー。と俺の隣にちょこんと座る。
桃色の振り袖の端で可愛らしい兎が跳ねてる。
そう言えば、この前ジェニーと一緒に着物の生地を買いに行っていた。
バブが凄く可愛いものを選んで来たとか言って、ジェニーが喜んでいた。
良く似合ってるなぁ。とか思いながら読み札を読み上げる。
畳の上にある札を叩く音が響いた後、ミストの喉から歓喜の声が上がる。
バブの目が輝くのを見た俺は、二回戦に参加しないかと聞いた。
バブが微笑みながら頷く。
二回戦、タガー達に混じって、彼女はカルタを探していた。
バブがカルタ目掛けて飛び掛かっている時や、取ってきて、喜んで飛び上がっている時、晴れ着の兎が跳ねたように見えた。
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