小説
クリスマスツリー・ストーリー()
賑やかで、美しい歌声が部屋中に響いている。
時には一人だけ、時には三人の合唱に乗って、様々な曲が流れていく。
そして、いよいよ最後の曲を唄おうとした時、ミクは先程から歌に度々出てくるあるものが気になって仕方が無かった。
「―何か、さっきから"クリスマスツリー"が歌詞に良く出てくるよね。」
話しかけられたがくぽとグミも「そう言えば…」と、暫く考えてみる。
「クリスマスの象徴…だからかな?」
「でも、サンタクロースとか、雪とかもあるよ。」
ミクとグミはうーん、と首を傾げながら考える。
そんな二人を微笑ましく思いながら、がくぽは自らの考えを述べる。
「拙者が考えるに、ツリーは誰にでもクリスマスの楽しみを与えるからだと思うでござる。」
がくぽが導き出した答えに、ミクとグミは咄嗟に反応した。
「ツリーは誰にでもクリスマスの楽しみを与える…?」
「そうでござる。サンタクロースは子供にしかプレゼントを与えず、雪は冬ならば何時だって降る…。」
この時、がくぽの頭の中には、ネット界の広場に鎮座しているきらびやかなクリスマスツリーを思い浮かべていた。
その大きなツリーの下にいる住人達は皆笑顔を浮かべている。
「だから、クリスマスらしいもので、大人も子供も楽しめるものと言ったら、ツリーが一番当てはまるであろう。」
さ、最後の曲は何でござるか?とがくぽがミクに聞くと、彼女は笑顔で譜面を渡した。
そこには、やはり"クリスマスツリー"の文字が入っており、良く読んでいたらそれはテーマとして取り上げられていた。
「この歌も、みんなにクリスマスの楽しみを与える事が出来るといいね。」
グミの言葉に同意しながらも、がくぽとミクは彼女と同時に息を吸った。
再び、賑やかで美しい歌声が部屋中に響いた。
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歌の中のクリスマスツリー
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