小説X
それぞれの悩み事
「これでも散々悩んだのよ。」
カボチャのランタンを象ったスカートを履いたローグがローガンにはにかみながらそう語る。
黒とオレンジを基調とした可愛らしい衣装から目を離さないまま、ローガンは一枚の皿をローグの前に差し出す。
「俺も、何をやるか迷ったんだぞ。」
大きめの皿の上には、カボチャのパイが乗っていた。
「これ、ローガンの手作り?美味しそう!」
「ああ。」
照れたような笑みを浮かべる彼に、ローグは微笑んだ。
「…ローグ、俺、いつも思うんだけど。」
「?」
「ハロウィンにあげるお菓子は何がいいか迷っている時に、なんかクリスマスプレゼントを選ぶ時もこう迷ったな…って事を思い出したんだ。」
「あ、分かる分かる!誕生日のプレゼントとか!」
二人は顔を見せ合って笑う。
「記念日は何かと迷う事が多いよね。」
「大切な日だから、より良くする為にはどうすればいいか考えるからだ。」
ローガンの言葉に頷きながら、ローグはパイを一切れ貰い、口に入れる。
仄かな甘さは、この日が良い日だと伝えているようだった。
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