小説X 早朝の悪戯 朝靄の中をバイクが切り裂く様に走る。 ひんやりとした空気がローグの頬を掠めてゆく。 「いいのか?お前もあの若造に叱られるかも知れないんだぞ?」 前にいるローガンの言葉に、ローグは微笑みを浮かべる。 「大丈夫よ。サマーズ先生は私の事は見逃してくれるし、貴方も何とか言い訳を考えてくれるもの。」 ローガンも微笑み、「ま、確かにな。」と答えてくれた。 「それにしても今日は珍しいな。俺の悪戯に付き合うだなんて。」 ローガンが訊ねると、ローグは楽しそうな口調で話した。 「前に早起きした時にね、外に出たら凄く気持ち良かったの。だから、あの空気の中をバイクで走ったらどんな感じなのかな…って。」 ローグの答えにローガンは微笑ましそうに笑う。 「実際、今はどうだ?」 その問いに彼女は清々しい声で答える。 「心の中が綺麗なもので充たされた感じ。最高。」 二人の気持ちが、同じだと分かった瞬間だった。 心地好い早朝の空気の中で。二人だけの時間です。 [*前へ][次へ#] |