小説X
柔らかい青の中で
空一杯の薄い青と、柔らかな日射しが、この気持ちを代弁してくれていた。
胸を高鳴らせる訳でも無く、まるで綿の様なふわふわとしたものが静かに降り積もる様な静かで穏やかな高揚感。
「暖かいな。」
ローガンの言葉にチャールズは微笑む。
「ああ、今日は良い天気だからね。」
言葉が途切れると、チャールズは目を静かに閉じる。
聞こえて来るのは、小鳥のさえずり。
柔らかな旋律に、心の中に春の陽気が満ちるようだ。
最近、ローガンはチャールズと中庭で寛ぐ事が日課となっている。
…と、いうか、ローガンのお気に入りスポットに彼が行くようになったのだ。
しかし、ローガンは前から彼と中庭で一緒にいたいと思っていた。
―いや、正確には春の時期に、だが。
(似てるん、だよな。)
―彼の穏やかな雰囲気とふんわりとした空気が。
チャールズから目を反らし、ローガンは薄い青の空を見上げた。
教授のイメージは春と夏。
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