小説X
マスクdeホワイトデー(ボビログ)
「…ボビー?風邪ひいてるの?」
ローグの言葉にボビーは目を穏やかに細めた。
「ううん。至って健康だよ。」
その言葉が事実だというかの様な元気な声に、ローグはますます首を傾げる。
「じゃあ、どうして?」
ボビーは近くの壁に掛かっているカレンダーを指差した。
「今日はホワイトデーだよ。」
「知ってるけど…それがどうして?さっき、貴方からお花貰ったけど。」
「あれは、皆で作ったチョコレートケーキのお礼。君からは別に一つ貰ったじゃないか。」
ボビーは顔を近づける。
「花は皆にもあげたけど、これは君だけに。」
ボビーは目を閉じると、マスクで隠れた唇を彼女のそれに重ねた。
「…!」
ローグは目を見開いたが、唇が離れて暫くしたあと、ふわりとはにかむ。
人に触れられない自分にどうしても最高の贈り物をしたいという彼の気持ちがとても嬉しい。
ホワイトデーは三倍返しとは言うが、このプレゼントはこの上ない素敵なものだった。
まだインフル騒動が凄かった頃、マスク越しにキスしている新郎新婦の写真を見て。
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