[携帯モード] [URL送信]

小説X
胡蝶の夢(スコット)
夢を、見たんだ。
僕は湖畔で佇んでいて、景色を楽しんでいた。
しかも、それはいつもの赤いサングラス越しの世界なんかじゃない。
統一された青を持つ空と湖。
それらを囲む緑の木々。
この二つとは違う色を持つ小石たち。

どれも、赤ではない色だった。

この景色を見たとき、思ったんだ。

ああ、世界って、本当はこんな色なんだなって。

ふいに、全てが赤に見える世界の方が夢なんじゃ無いのかって考えがよぎった。
全てが赤に見える世界なんて、普通なら無い筈だ。
色とりどりの世界の方が当たり前だろう。

 もしそうだとしたら、あの世界での幸せはなんだったのだろうか。
その幸せを与えてくれた人逹との関係はこの世界でも変わらないのだろうか。
そんな事を考えている内に、向こうの世界に帰りたくなって、夢から醒めようとするけれども、この光景を目に焼き付けたいと願い、凝視してしまう自分がいる。

本当の世界を見ていたいと願ってしまう。

でも、そこには無い、いつもの日常に戻る事を望んでいて―。

もし、どちらかが本当の現実ならば、
どちらが僕にとって幸せになれる世界なのだろうか。



――――――――――――

 スコット視点です。


倫理の教科書に載っていたエピソードから。

(蝶になった夢を見たけれど、実は蝶になった夢の方が現実で、人間でいる事の方が夢じゃないのかと思ったという話。)(誰の話だったかは忘れた…。)




[*前へ][次へ#]

11/26ページ


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!