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小説X
アフター・ハロウィン
「あぁ〜、疲れた〜。」
 静かな部屋の中、ローガンは椅子に深く腰かけた。
今日は学園内のハロウィンパーティーに付き合わされ、『トリックオアトリート!』と叫ぶ子供逹から、持たされたお菓子を散々ねだられた。
疲れるのも無理はない。
「ローガン、お疲れ様〜。」
ふにゃふにゃとした声でローガンに話しかけるカート。
今日はお菓子をねだられる他にも、青い尻尾を弄ばれ、ローガンよりもある意味くたびれていた。
「お前も大変だったな。」
ローガンは椅子から立ち上がると、カートに腰掛けるように促した。
カートは先程のローガンの様に深く腰掛けると、溜め息を付いた。
良く見てみると、尻尾には子供逹がテープで貼り付けたジャックオーランタンの絵葉書がぶら下がっている。
「お菓子だけでは足りないみたいでね、悪戯も仕掛けてきたよ。」
尻尾を見ながらカートはポツリと言う。

「だが、そう嫌なものではないだろう。」
急に聞こえた声に振り向くと、チャールズが微笑みながら此方へ近づいて来るのが見えた。
その手にはワインボトルが握られている。
「君逹にはお菓子よりこっちの方が良いと思って。」
「気が利くな。」
「ありがとうございます。」
ローガンは食器棚からグラスを三つ持ってくると、受け取ったワインを注いだ。
「疲れたかな?」
「ああ。」
「でも、楽しかったです。子供たちがあんなに喜んでくれて…。」
確かに大変だった。
でも、思い浮かべるのは楽しい光景ばかり。
「それは良かった。それでは、乾杯しよう。」

部屋の中に、三つのグラスを軽くぶつける音がした。

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あきゅろす。
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