桜咲く夜
2.
いつも通り自分の家の長い階段を登りきり家の戸を開けた。
『ただいまー。』
「おかえり、緋紗江。」
エプロンをしたお母さんが出迎えてくれた。
『ただいま。おばあちゃん』
おばあちゃんが死んでから早2年。私は笑っているおばあちゃんの写真に向かって言った。
「今日も弓の稽古するの?」
お母さんが間を見計らって聞いてきた。
『うん。おばあちゃんとの約束でもあるし。』
「毎日しなくてもいいと思うけどねぇ…」
溜め息をしながら棚に所狭しと置いてある
【○○杯 優勝 大槻緋紗江殿】と書かれたトロフィーや賞状やらを横目にみてお母さんが言った。
『毎日やらないと体が鈍っちゃうもの。』
そう聞いてお母さんは緋紗江がいいなら構わないわと言って夕飯の支度のためキッチンへ行った。
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