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消失少女
あの時





『 ……。』


沖田の迫力に押され口を噤んだが


『…トランシーバー……貸して。』


「何をする気でィ?」


何かを決心したかのように息を吸い込み時雨は沖田にトランシーバーを渡すよう促した。

時間はあと7分。


『今の状態を連絡しないと…。』


「それは俺がやらァ。」


『…総悟…、ごめん。』


グイッ


「おい何を…うわっ!」


時雨は沖田の隊服を引っ張り沖田のバランスを崩した。

そして


チュッ


前のめりになった沖田の頬にキスをした。


「なっ…!」


油断している隙に腰にあったトランシーバーを取り連絡を始めた。


『こちら久遠!!幹部の数人が逃げた模様です!また、このビルにはまだ数個爆弾が仕掛けられていると浪士が漏らしていました。』


「ジジッ…了解。他に何かあるか?」


『沖田隊長が脚を負傷しています。
隊士を数人よこしてください!』


「わかった。すぐに向かわせる。」


『ありがとうございます。』


「ど、どういうつもりでィ!」

下敷きになりだんだん呼吸が苦しくなった時雨は一度深呼吸をして沖田をまっすぐ見た。


『総悟。梃子でも動く気が無いみたいだけど、隊長である貴方が居ないと真選組は終わってしまうよ?せめてあなただけでもここから離れてもらわないと…。』


バタバタバタバタ


「沖田隊長!!」


『…来た…。』

近くにいたのか隊員たちはすぐにやってきた。


「沖田隊長!!久遠!!!」


時雨の連絡を聞いてやってきた隊士たちは目の前の現状に目を見張った。


『隊長を連れて行ってください!』

「し、しかし…久遠さんは…。」


『私はもう無理なので行ってください!!』


「……はい!」

苦渋の選択を迫られた隊士も決心をして沖田を抑えた。

「離せ!!」

「沖田隊長!」

『急いで!』

「やめろって言ってるだろ!!今すぐ離せ!」

必死の抵抗をしていたが隊員達はビクともしなかった。自分の何もできないことを思い知らされた。


「時雨ーー!!!」

ーーーーーーー

「!!」


俺が最後に見た時雨は姉上の最期の時のようなとても穏やかな笑みを浮かべていた。



爆弾に示されたタイムリミットは
あと03:58




あの時、



最期に君はそう言った。



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