消失少女
造られた存在 1
私は、とある研究所で生まれました。
「おお成功だ!」
「全く同じだ…コピーだ。」
目を開けた先には実の親なんてものは
いませんでした。
「立て、X-032。」
それからタグがついた腕輪をはめられ
そこにに書いてある番号で呼ばれて毎日
訳が分からず注射を打たれました。
実験が軌道に乗り注射の本数が減った頃、私はある程度の自由を与えられました。
そんなある日私は研究所を歩いていたとき
大きなアプセルがあったのです。
「(何だろう…?)」
今まで見たことのない物に私は興味を抱き
近づいてみました。
「私……?」
中には液体と私と瓜二つな少女が入っていました。
多分、私が初めて時雨さんと出会ったのがその時だと思います。
彼女は目を固く閉ざし動かず変化は時折
現れる空気の泡ぐらいでした。
「こいつはお前の姉だ。目が覚めたら一緒にいると良いさ。目が覚めればな…」
後ろには白衣を着た研究員がいた。
「姉…?お姉ちゃん……なの?」
たくさんの言葉の意味が書かれている本にあった言葉。私が憧れていたもの。いないと諦めていた血の繋がったひと…
「ああ…そうだ……。」
正直とても嬉しかった。自分は作られたもので親も姉もいないと思ったから。
姉がいるってわかってからというものの
毎日私は姉のいる研究室に行った。
そんなある日、私はお姉ちゃんが目覚めたと聞きました。
早く会いたくて近くを通りかかった研究員の白衣をつかんだ。
「お姉ちゃんは??」
「今はそこの部屋に入れている。話しかけても何も反応しないし行っても意味ないぞ。」
それでも…
「でも会ってくる…!」
研究員が示した方へ私は行きました。
そこには周りを見渡し動揺している時雨さんがいたんです。
『え……?何ここ…。私は爆発で…』
「お姉…ちゃん……?」
私が呼びかけた時彼女は訳が分からないという風にこっちを振り返りました。
『あ、貴女…私と……。うぁっ……』
ドサッ
「お姉ちゃん!?」
お姉ちゃん、いえ、時雨さんは多分蘇る前からの記憶があったんだと思います。
そしてそれに気づいた別の研究員が麻酔を
打ったんです。
「X-032。もう今日は部屋へ戻れ。」
「でもお姉ちゃんは…?」
「研きゅ…じゃない検査だ検査!お前は
しばらく留守番だ。」
さすがの私でも可笑しいって思いました。でも私には何もできなかった。
それからは毎日あった検査がなくなり他の
研究員も出払っていて数週間私はほったらかしでした。
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